アドビの期間限定ギャラリー「station 5」にて、映像クリエイター・高野光太郎氏によるセミナー「高野光太郎の日本一速いNABレポート」が開催された。高野氏は、子供向け教育番組「えいごであそぼ」(NHK)内の映像を制作を担当する注目の映像クリエイターだ。 NABとは、4月12~15日の期間に米国で開催された全米放送機器展(NAB)のこと。NABでは、全世界の映像関連企業が集い、最先端の映像機器やツールなどが出展される。セミナーには、高野光太郎氏と共にNABを取材したアドビ システムズ ビデオ製品担当 古田正剛氏も登壇した。
高野氏によると、今年のNABは、「立体視映像(3D映像)」と「動画一眼レフカメラ(DSLR)」が目立っていたとのこと。立体視映像は2007年ごろのNABから少しずつ出品されていたが、今年になって一気に増えたようだ。高野氏が撮影した写真には、2台の巨大な業務用カメラを「リグ」と呼ばれる装置で接続した物や、小型の立体視対応ハンディーカメラなどが写っていた。
業務用カメラを使った立体視撮影システム。「むちゃくちゃデカい。まるで『ロボコップ』の世界ですよ」(高野氏) |
フルHDで2700fpsを撮影可能なハイスピードカメラ「Phantom」を使った立体視撮影システム。高野氏は「いつか使ってみたいですね」とコメントした |
高野氏が最も注目したアイテムが、1台269ドルの「GoPro Hero」。この製品は片手サイズの小型カメラにもかかわらず、HD映像(1080p 29.97fps、720p 60fps)を撮影可能な優れもの。その上、水深60メートルまで潜れ、耐衝撃性も高いという。高野氏は、「ブース内のデモでは、サーフボードにつけて撮影した映像や、スキーやスカイダイビングなどの映像を流していました。これが面白いんです。みんなは『これからは3D映像だ』と言ってるけど、そんなことはない。映像の内容が面白ければ、人はそれで食いつくんだと思います」と語った。
また、このブースには「GoPro Hero」を使って立体視映像を撮影するキットも展示されていたようだ。そのキットとは、「GoPro Hero」を横に2台並べて収納する簡単なケース。本来だったらカメラの向きや角度をミリ単位で計算してリグで固定しなければならないのに、適当に並べただけというシンプルな構造だ。
他に高野氏が注目したのが、デジタル一眼レフカメラ(DSLR)関係のブース。「どこ見てもDSLRだらけで、NABはいったいなんの集まりだかわからないですよ」と高野氏。日本でもお馴染みの周辺機器メーカー「ザクート」や「レッドロックマイクロ」が人気だったようだ。それ以外にも、キヤノンEOS 5Dmk2にソニーのビューファーを無理矢理装着した展示品や、2台のDSLRを強引に接続したリグなど、とてもDSLRとは思えない製品が展示されていたようだ。