サービス閉鎖が発表された「Lala」

米Appleは4月30日(現地時間)、同社が買収したオンライン音楽配信サービス「Lala」のサイトを5月31日付けで閉鎖すると発表した。Lalaはすでに新規会員募集を停止しており、サイト上でもその旨のアナウンスが行われている。一部では、Lala閉鎖のタイミングでAppleがiTunes向けのWeb音楽配信サービスを開始するのではという観測が持ち上がっている。

音楽愛好家向けのソーシャルサイトとして2006年にスタートしたLalaは、後にWebブラウザのストリーミング経由で音楽を配信するサイトとして営業を続けてきた。だが2009年12月にLalaはAppleによって買収され、旧事務所はすでに移転しており、一部従業員の人員整理が行われているとの話が伝えられている。Lalaはこれまで、800万曲の音楽ライブラリから1曲あたり10セントで無制限ストリーミング配信を行っており、さらに79セントでMP3楽曲の購入も可能。米Wall Street Journalによれば、Lala閉鎖後にこうした有料会員メンバーにはAppleからiTunesクレジットを用いて返金が行われる予定だという。Lala閉鎖後の計画について、Appleではコメントを断っている。

だが観測筋らによれば、ダウンロード販売が中心のiTunes Storeに対し、AppleはLalaの取り込みで"クラウド"経由での音楽配信を計画しているのではないかと予測されている。GoogleがChrome OSでWebブラウザベースのコンピューティングを推進するなど、急速にクラウド対応が進むなか、Apple自身も巨大データセンター設営などクラウド戦略強化に力を注ぎつつあり、Lalaを利用したiTunesサービスのクラウド化は必然という考えだ。またAppleのLala買収が騒がれた理由のひとつとして、もともと同社の買収はGoogleが計画していたという話があり、対立を深める両社の最前線にLalaが位置していたことに由来する。ユーザー側としては、今後のAppleの発表が気になるところだ。