NXP Semiconductorsは4月26日(現地時間)、ARM Cortex-M0搭載MCU「LPC11C00ファミリ」として「LPC11C12」「 LPC11C14」2製品を発表した。
この2製品は産業用機械制御用に、CAN 2.0B準拠のコントローラを内蔵している。CANは産業用や組み込み用に長期に渡り利用されてきており、特にリアルタイム制御では最良の選択肢の1つであるが、その一方でコストはやや高価である。LPC11C00シリーズを用いることで、CANコントローラ向けに低価格のソリューションを実現することが可能となる。
特に自動車向けのアプリケーションの場合、複数のコントローラが混在する環境でセンサやアクチュエータの制御を行うケースでCANが用いられている。またホームアプライアンスやモータ制御やエレベータシステム、あるいはエネルギー管理といった新しい組み込み向けの用途で、CANのニーズが次第に高まっている。
開発者はLPC11C00シリーズのオンチップROMに収められたCANopenドライバを使う事で、CANベースのネットワークに繋がるアプリケーションを、容易に利用できるAPI経由で迅速に構築することができる。このCANopenドライバでは
- CANのセットアップと初期化
- メッセージの送受信
- ステータス取得
- CANopen Object Dictionary
- CANopen SDO expedited communication
- CANopen SDO segmented communication primitives
- CANopen SDO fall-back handler
といった機能がAPIとして提供される。
また低消費電力のROMと最大8KBのユーザーコード空間、低消費電力動作、およびCANもしくはシリアルチャネル経由での安全なロードといった機能も提供される。加えてCANを経由してのISP(In System Programming)機能を使い、Flashメモリのアップデートも可能となっている。
LPC11C00は典型的な8/16bit MCUと比較して40~50%コードサイズが節約できる。これはCortex-M0のARM V6-M命令セットの採用により可能となっている。MCUは50MHz駆動で、最大処理性能は45DMIPS以上であり、8/16bit MCUでは不可能な、CANデバイスに必要なメッセージ処理能力と省電力性の両立が可能となっている。
その他の特徴は以下の通り
- Cortex-M0はSWD/debug機能(4ブレークポイント)を搭載
- 32のベクタ割り込みと4レベルのプライオリティを可能とし、13のGPIOに専用の割り込みを設定可能
- CAN 2.0 B/Cコントローラ+オンチップのCANopen driverを搭載
- UARTおよび2つのSPI&I2Cを搭載
- PWM/Match/Captureに利用できる2つの16bitと32bitのタイマと、24bitのシステムタイマを搭載
- 精度1%の12MHz RCオシレータを内蔵
- POR(Power-On-Reset)、複数レベルのBOD(Brown-Out-Detect)、および10~50MHzのPLLを内蔵
- ±1LSBの高精度8ch 10bit ADCを搭載
- 42の最大5Vに対応したGPIOピンを装備し、最大20mAまで駆動可能
- 1.8~3.6Vの単一電源で動作し、最大6.5KVのESD耐性をもつ
LPC11C00シリーズは2010年5月より量産が開始される。1万個あたりの価格は、48pin QFPパッケージのLPC11C12FBD48が1.68ドルから、8KB SRAMと16KBないし32KBのFlashを搭載するLPC11C14FBD48が1.98ドルからとなっている。