ルネサス エレクトロニクスは4月27日、Blu-Ray Disc(BD)記録/再生機用に、光導波路を半導体素子内部に作りこむ新構造を採用することで高出力かつ量産性に優れた青紫色半導体レーザダイオード(波長405nm)「NV4A61MF」を開発、青紫色レーザ事業に参入したことを発表した。同製品のサンプル出荷は即日開始されており、サンプル価格は2,000円となっている。

ルネサス エレクトロニクスの青紫色半導体レーザ「NV4A61MF」

現在市場で用いられている青紫色半導体レーザは、発光部に集中して電流を流すための電極およびレーザ光の伝搬路である光導波路を半導体表面からドライエッチングを用いてリッジ(尾根)状に加工する「リッジ導波路」構造を採用している。この場合、発光層のすぐ上に形成されるクラッド層の厚さがレーザ特性を左右する重要な要素となっているが、適当なエッチングストッパとなる材料が存在しないため、ドライエッチングによるクラッド層の加工厚を正確に制御することが難しく、レーザ特性バラつきの原因となっていた。

同社が新たに開発した同製品では、レーザダイオードの特性を左右する光導波路を半導体の内部に作りこんだインナーストライプ構造を採用することで、光導波路をレーザチップ表面に形成した従来の素子に比べ、GaN基板上に形成する光導波路の加工精度を約10倍に向上させるとともに、素子の放熱性を2割改善できることから、8倍速書き込みに対応できる350mWの光出力を85℃の高温まで安定して発振できるほか、低出力から高温・高出力域まで電流・光出力特性の直線性の実現、BD再生時に課題となるレーザ雑音(出力の揺らぎ)を1/3以下に低減(従来品比5dB/Hz改善)といったことが実現されている。

なお、同社ではBDの記録速度の高速化に対応するため、出力420mW品(2層ディスク12倍速用)の製品化を2010年12月に予定するなど、青紫色レーザ事業に積極的に取り組んでいくとしている。