三洋半導体は4月26日、リチウムイオン電池の充放電保護回路向けNチャネルパワーMOSFET「EFC4612R」「EFC4615R」を製品化したことを発表した。サンプル出荷は2010年5月よりサンプル価格100円(4612R)、150円(4615R)で開始、量産は同6月より月産3,000万個で順次開始する予定。
リチウムイオン電池は通常、電池の充放電時の発熱や劣化などを抑制するために充放電保護回路を内蔵している。同製品は同回路のスイッチ用途として活用されるもので、CSP化BGA構造の採用と、独自の裏面保護膜技術の採用による小型化と薄型化、対衝撃耐性の向上を実現している。
CSPによるBGAパッケージの採用により実装面積は従来製品比39%減となる1.59mm2(4612R)を実現、薄型化については、ウェハ厚を200μmへと削減したことに加え、はんだ塗布手法の最適化を行うことで、従来製品比で33%減となる0.37mmの実装高を実現した。また、裏面保護膜技術を用いることで基板実装時に薄チップで発生しやすい割れ欠けの抑制が可能となったほか、パッケージ表面に文字を印刷することで視認性の向上も実現した。
また、セル密度の向上のために、セルピッチ1.8μm、デザインルール0.25μmの同社第5世代トレンチプロセス(T5)を採用。駆動電圧は2.5Vで、性能指数は71.5mΩ・mm2となっている。
性能については2製品ともに、VDSS24V、VGSS12Vで、オン抵抗(VGS=4.5V)は4612Rが24/39/45mΩ、4615Rが19/27/31mΩとなっている。
三洋半導体 ハイパーデバイス事業部 スモールデバイス開発部 MOSデバイス課課長の吉村充弘氏。手に持っているのが今回開発されたパッケージの模型 |
同製品の性能について、同社ハイパーデバイス事業部 スモールデバイス開発部 MOSデバイス課課長の吉村充弘氏は「例えば従来品と同じオン抵抗だとしても、小型化を実現したことで、電池パックそのものの小型化と薄型化が可能となる。これにより限られた電池パックのサイズに対し、これまで以上のリチウムイオン電池を入れることができるようになる」と説明する。
三洋半導体 ハイパーデバイス事業部 スモールデバイス開発部部長の秋庭隆史氏 |
出荷比率としては、「将来的には国内外で50:50程度となると思うが、しばらくはBGAパッケージの取り扱いに長ける国内メーカー向けがメインとなるはず」(三洋半導体 ハイパーデバイス事業部 スモールデバイス開発部部長の秋庭隆史氏)との見方を示しており、鉛フリー、ハロゲンフリーなどへの対応も含め、環境配慮型製品として積極的に海外展開も行っていくという。