2010年5月12日~14日の3日間、東京・台場の東京ビッグサイトにて「第13回 組込みシステム開発技術展(ESEC 2010)」が開催される。インテルのブースでは、IA(Intel Architecture)を活用することで見えてくる次世代の組込活用の姿を見ることができる。

ESEC 2010におけるインテルブースのイメージ図。手前の円形のIntelロゴの部分が組み込みの将来を感じることができる「Future Concept Zone」

今回の同社の出展テーマは「Intel provides Power of Intelligent,Connected world」。このテーマについて、インテル マーケティング本部エンベデッド&ストレージ製品・マーケティング,プロダクト・マーケティング・エンジニアの廣田洋一氏は「今後、ネットワークという存在は大きなキーワードとなる。これまでネットに接続するものといえば、主流はPCだった。しかし、今やそれ以外のものも無数にネットにつながろうとしており、クラウドにしても、PC以外からの活用の方が将来的に大きく広がる」とコメントしており、同社が伝える1つのメッセージとして組込機器によるインターネットへの接続があり、ESECではその将来像の一端を見せられるような工夫がしてあると説明する。

また、廣田氏は「最近の組み込み業界について感じていることとして、果たして進化が起きているのか、ということ」と組み込み業界の動きに対するコメントも述べている。「少しずつではあるが、進化しているのは確実だ。しかし、それら組込機器を使うユーザー側からのニーズは機器の進化よりも早い勢いとなっている。そうしたニーズに組込機器が応じるためにはデバイス側もインテリジェントにならないといけない」(同)ということであり、デバイスにさまざまな機能が搭載されており、それを使えば、どういった良いことができるのか、ということも表現できるような出展内容となっていることも強調する。

同社の展示ブースの広さは同展示会最大級と目される22小間。同社パートナーも多数出展を行うが、インテル自体も上記のような将来像を来場者に感じてもらうための「Future Concept Zone」を用意し、未来の組込機器の使い方などの提案を行うことが予定されている。

予定されているものとしては、「Intel HEMS」やデジタルサイネージと何か他のアプリケーションを組み合わせた場合の活用方法、IAを活用したロボット、GENIVI Allianceにおける活動などとなっている。Intel HEMSのHEMSはHome Energy Managementの略で、スマートメータのような電力使用量の検針だけの仕組みではなく、より様々な機能を持たせることで、スマートグリッドという大きな枠組みの中における情報の見える化を促進するための端末の1つとしてのコンセプトとなる。

また、同社は展示ブースのほかに開催2日目となる5月13日の特別講演として、同社取締役副社長の宗像義恵氏が「エンベデッド・クラウドがもたらす未来」と題した講演を行うほか、テクニカルセッションのハードウェア技術トラック「"ES-22" 最新プロセッサ技術」においてルネサス エレクトロニクスと共同でマルチコアプロセッサに関する講演を行うことが予定されている。

特に特別講演に関しては、ネットワークにつながる端末が今後も増大し続け、それに伴う組込機器開発モデルの変化やクラウドへの対応などについての解説やビジョンなどが語られる予定で、インテルがどうこうというよりも、組み込み業界全体を俯瞰した講演となる予定だ。

最後に、廣田氏はESECへの来場者に対し、「まだまだ組込業界には可能性が沢山存在していると思っている。ぜひ、インテルのブースに来てそれを体感し、インスパイアしてもらいたい。我々は自己満足に陥るつもりはまったくなく、機器ベンダなどがチップベンダに考えてもらいたい、実現してもらいたいと思っていることに応えたいという思いを持っている。我々は最終セット製品を持っていない。だからこそ、ビジョンや将来の方向性を打ち出し、多くの人に賛同してもらい、一緒に活動をしていけることを願っている」とあくまで組込業界はシステムベンダが主役であることを強調しつつ、インテルとしても組込分野に対し、本気で取り組んでいるとコメントしてくれた。