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Phoronixが早速登場したばかりのGCC 4.5.0に関するベンチマークを実施して発表した。比較に使われたコンパイラは1年前のバージョンとなるGCC 4.4.0およびGCC 4.3.0。[Phoronix] Benchmarks Of GCC 4.5.0 Compiler Performanceにベンチマーク結果がまとめられている。計測に使われたプラットフォームおよびベンチマーク項目は次のとおり。

ベンチマークプラットフォーム
GCC GCC 4.3.0 / GCC 4.4.0 / GCC 4.5.0 - UbuntuにインストールされているGCC 4.4.3を使ってソースコードからビルドしたものを使用。
S/W Ubuntu 10.04 LTS (x86_64)開発スナップショット+Linux 2.6.32-20カーネル。GNOME 2.30.0、X.Org Server 1.7.6、NVIDIA 195.36.15ドライバ、EXT4ファイルシステム。
H/W Lenovo ThinkPad T61 (Intel Core 2 Duo T9300 "Penryn" 2.50GHz、DDR3 MEM 4GB、SATA2 HDD 100GB、NVIDIA Quadro NVS 140M)
ベンチマーク項目
Apache v2.2.11コンパイル時間比較
PHP v5.2.9コンパイル時間比較
ImageMagick v6.5.5コンパイル時間比較
7-Zip v9.04コンパイル時間比較
LAME v3.98.2 wav-tomp3エンコーディング時間比較
x264 v2009-11-18 H.264ビデオエンコーディング時間比較
Gcryptライブラリv1.4.4 CAMELLIA256-ECB暗号化時間比較
OpenSSL v1.0.0 RSA 4096bit処理時間比較
C-Ray v1.1処理時間比較
GraphicsMagick v1.3.7 HWBカラースペース処理時間比較
GraphicsMagick v1.3.7リサイズ処理時間比較
GraphicsMagick v1.3.7シャープ化処理時間比較
Bullet Physics Engine v2.75 3000Fall処理時間比較
Bullet Physics Engine v2.75 1000Stack処理時間比較
Bullet Physics Engine v2.75 1000Convex処理時間比較
Bullet Physics Engine v2.75 Convex Trimesh処理時間比較
Bullet Physics Engine v2.75 Raytests処理時間比較
John The Ripper v1.7.3.1 Blowfish処理時間比較
HMMer Search v.2.3.2 Pfamデータベース検索時間比較
NAS Parallel Benchmarks v3.3処理時間比較

同ベンチマークではまずApache、PHP、ImageMagick、7-Zip Compressionをビルドするのにかかる時間を計測している。新しく追加した機能の影響か、GCC 4.5.0のビルドは4.4.0や4.3.0と比べると全体的に1割ほど遅い結果になっている。グラフの左上に掲載されている▲または▼の示す方向がパフォーマンスの高い方になっている。

Benchmarks Of GCC 4.5.0 Compiler Performanceより抜粋

Benchmarks Of GCC 4.5.0 Compiler Performanceより抜粋

いくつかのベンチマーク結果から、特に4.4.0と4.5.0の違いが大きいものを抜粋すると次のようになる。

Benchmarks Of GCC 4.5.0 Compiler Performanceより抜粋

Benchmarks Of GCC 4.5.0 Compiler Performanceより抜粋

Benchmarks Of GCC 4.5.0 Compiler Performanceより抜粋

Benchmarks Of GCC 4.5.0 Compiler Performanceより抜粋

NASベンチマークではGCC 4.5.0がはっきりとパフォーマンスが伸びていることを確認できるが、ほかのベンチマークではそれほど変わらないか、GCC 4.5.0の方が遅いという結果になっている。少なくともPhoronixが試験した環境では、ビルド時間が増える割には、ビルド後のバイナリの性能改善はあまり確認できない、ということになる。

こうしたベンチマーク結果はあくまでも特定の環境下における参考値にすぎないことに注意する必要がある。H/WやS/Wの条件が違うと性能が大きく変わることがある。性能を調査する場合、利用する環境をセットアップして個別に試験を実施した方が確実。