従業員数999人以下の中堅中小企業(SMB)市場の投資額規模については、2010年が2,760億円(前年比成長率17.8%増)で、2014年には4,782億円に拡大すると予測されている。
同社では、上場企業の多くが2回目の内部統制報告書提出を迎える2010年、財務分野では、監査人から指摘された情報システムにおける不備事項の改善を進めると同時に、国際会計基準(IFRS)への対応を検討する動きが広がっており、日本独自の商慣行や取引関係を前提とした基幹システムの扱いが、ITに関するコストの観点から問題となっていると指摘している。
財務以外の分野では、大規模リコール/製品回収、改正労働基準法、改正省エネルギー法、東京都の総量削減義務/排出量取引制度など、国内産業界に対する厳格な法令遵守を求める動きが表面化している。
こうした背景より、2011年以降も、コンプライアンス対策におけるICT利活用への需要が拡大すると予測されるという。
一方、IFRSの適用を直接受けない非上場のSMBは、法人税法の確定決算主義に準拠した会計処理を行うのが一般的だが、リース会計、デリバティブ/ヘッジ会計、外貨建取引会計、上場株式の評価損、棚卸資産の評価損など、さまざまな会計基準の改正の影響が法人税制に及ぶことが見込まれるという。
また、大企業ではグループ向けのシェアードサービス、SMBでは経理/人事分野のビジネスプロセスアウトソーシングなどで、クラウド環境を試験的に利用するケースが増えつつあり、ITスペンディング リサーチマネージャーの笹原英司氏は「ユーザー企業の情報システム部門は統合的リスク管理の観点から、業務部門や法務専門家と連携して、事前の技術評価、SLA締結、事業継続管理/災害対策計画策定など、クラウド環境のITガバナンスに関する外部委託管理で必要な予防的対策の標準化に向け施策を推進すべき」と述べている。
国内コンプライアンス市場規模予測の推移(2009年~2014年) 資料:IDC Japan |