2010年4月14日から16日の日程でCOOL Chips XIIIが開幕した。初日の4月14日はチュートリアルの特別講演3件が行われ、4月15日からがCOOL Chipsの本会議である。会場は横浜情報文化センターで東横線から直通のみなとみい線の日本大通り駅の真上のビルであり、交通の便が良い。また、横浜名所の中華街まで徒歩5分程度である。余談であるが、中華街はランチ激戦区で、600円台はザラで500円台という店もあり、学会のランチブレークに昼食に行くのにも便利である。
4月14日のチュートリアルでは、ユーザの要件に応じて各種ユニットを組み合わせたり、独自の命令を定義したりできるマイクロプロセッサを提供しているTensilicaのChris Rowen CTOが次世代携帯電話の標準となるLTE(Long Term Evolution)のハンドセット用のLSIへの同社のマイクロプロセッサの適用について講演を行った。ターボデコード用などの専用命令を追加した7個のコアを搭載して20平方mm以下で実現でき、カスタム設計と比べて遜色ないという。
特別セッションの開始を告げるセッションチェアーの名古屋大学の冨山准教授 |
講演を行うTensilicaのChris Rowen博士 |
また、フランスの国立研究機関であるCEA-LETIのAhmad Jarraya博士のLSIの複雑化に伴い重要性が増す、ハードウェアとソフトウェアのコデザインの方法とTSV(貫通ビア)を使ってチップを積み重ねる3D実装LSIの設計法についての講演、iNoC CTOのSrinivasan Murari博士のオンチップネットワークの設計法と同社のオンチップネットワーク設計ツールに関しての講演が行われた。
4月15日の本会議では開会直後のセッションでIBMのKahle氏のPOWER7に関する基調講演と富士通の山崎氏のSPARC64 VIIIfxに関する基調講演が行われる。
POWER7は米国の10PFlopsスパコンと言われるBlueWatersのプロセッサであり、SPARC64 VIIIfxは日本の10PFlopsの次世代スパコンのプロセッサと、日米のトップスパコンのプロセッサの発表が並ぶ。また、15日の午後にはNHKのスーパーハイビジョン用カメラテクノロジの基調講演が行われ、16日にはGoogleのデバイスとクラウドによるコンピューティング、NVIDIAのTegraの基調講演などが行われる。
そして、これらの基調講演と並んで10件の論文発表と16件のポスター発表が行われる。COOL Chipsは米国で開催されるHot Chipsの姉妹学会としてアジアで開催される先端LSI開発の成果を発表する場となっており、韓国や台湾からの発表も多く含まれている。