Analog Devices(ADI)は、ブロードバンド通信システム向けRF IC「ADRF6655」および「ADRF6510」を発表した。2製品ともにすでに量産出荷を開始しており、ADRF6655は1,000個受注時の参考価格が9.98ドル、同6510は同じく1000個出荷時で参考価格8.99ドルとしている。

ADRF6655はPLL/VCO内蔵アクティブミキサ、ADRF6510はデュアル・プログラマブル・フィルタ&可変ゲインアンプ(VGA)で、どちらも複数の機能を1チップに集積、従来のディスクリート部品を用いたRF設計と比べて、部品点数を1/4に削減することが可能だ。

ADRF6655は、周波数範囲100~2500MHz以内で動作するブロードバンド・アクティブ・ミキサで、完全集積フラクショナルNフェイズ・ロックド・ループ(PLL)シンセサイザ、電圧制御発振器(VCO)に加え、安定した動作を得るためのロー・ドロップアウト(LDO)レギュレータ回路を搭載している。

PLLとVCOは、オフチップにして外付け用途にも用いることも可能。+5V単一電源で動作し、+29dBmのIIP3特性、+14dBmのIP1dB(入力利得圧縮)、6dBの変換利得(電圧換算値)、12dBの雑音指数、さらに、オフセット100kHzで-111dBc/HzのLO位相ノイズが特長となっている。

ADRF6655の機能ブロック図

一方のADRF6510は、デュアルチャネルの差動ベースバンド信号処理ソリューションで、マッチングした1対の差動低ノイズ・低歪みプログラマブルフィルタとVGAを、1チップ上に集積している。

また、同マッチングフィルタ回路は、コーナー周波数を1MHzステップで調節できるため、単一の無線設計でワイドバンドとナローバンドのサポートが可能だ。

さらにVGAは、50dBのゲインコントロール範囲を実現。フィルタ前段のプリアンプは6dBステップのゲインを提供し、フィルタ回路に続くVGAは、-5dBから+45dBのゲイン範囲を提供する。これにより、ユーザは、高ダイナミックレンジの無線装置のゲイン範囲を選択して最適化することができ、その後に配置されるA/Dコンバータ(ADC)の駆動要件を緩和することができるようになる。