マイクロソフトは9日、昨年12月に発表した「ITを活用した若者就労支援プロジェクト」の進捗に関する説明会を開催した。NPO法人育て上げネットと協力し、若者にITスキルの習得機会を提供、就労を支援するというもの。来週から本格的に講習が開始される。
ITを活用した若者就労支援プロジェクトは、無業状態にある18~38歳の男女に対して就職に必要となるITスキルの習得および資格取得の機会を提供するというもの。NPO法人育て上げネットが運営する「地域若者サポートステーション」において、マイクロソフトの研修コースを受講した講師によるITスキル講座を開く。来週より、立川、三鷹、足立、横浜、川口の5施設を皮切りに順次開講していく。
講座は1コース20時間、「Microsoft Office 2010」の操作習得コースでは、マイクロソフト製アプリケーションの利用スキル認定資格「MOS (Micorosoft Office Specialist) 」の取得につながるような授業を実施する。また、Accessを利用したDB作成やWeb制作などのコースも展開する予定。講座は2年間で25施設、6,000人の受講者を見込み、うち30%を就職等の進路につなげたい考えだ。
マイクロソフトは教材提供や講師育成などで協力していく。講座テキストは、「マイクロソフトの最新技術、Windows 7やOffice 2010を使った実践的なスキルを身につけることを目的」(伊藤ゆみ子 執行役 法務・制作企画統括本部長)に制作した。講師育成は同NPOのスタッフを対象とし、技術面だけでなく、伝える技術も重点的にトレーニング。修了者は、同社認定トレーナー資格「Microsoft Certified Trainer (MCT)」の取得を目指す。今回は10名が修了、最終的には25施設をカバーするために計50名の講師を育成する予定となっている。
このほか、講座用テキストなどのコンテンツを公開するポータルサイトを開設。有識者メンバーによるアドバイザリーボードも設置し、プロジェクト成果の有効活用、他の若者就労支援政策に対する提言にもつなげていくとした。
プロジェクトの意義
工藤啓 育て上げネット理事長によると、ITスキルを持たない若者の就労傾向として「仕事の選択肢がないと(就労を)あきらめる人が非常に多い」。ITスキル講習は、「将来に対する希望を叶える、選択肢を拡大する」点で大きな意義を持つとした。また、最終日となった講師育成コースを訪問した樋口泰行 同社代表執行役社長も本プログラムの意義を説明。経済的理由などで勉強する機会に恵まれない若者を支援していくほか、日本国内におけるIT利活用を推進する動きにも貢献していきたいと話した。