日本オラクルは4月8日、製造業・消費財業界を対象とした需要管理アプリケーションの最新版「Oracle Demantra 7.3」の提供を開始した。今回、需要管理機能と同社製品との連携の強化、対応言語の拡充が図られている。
常務執行役員兼アプリケーション事業統括本部長を務める保々雅世氏は、同製品が必要とされる背景について語った。
「最近、経済アナリストらが"ニューノーマル"という概念を打ち出している。この概念は"常に変化が起こっているのが当たり前"という考え方であり、"リーマンショックを切り抜けたからといって元の世界に戻ることはない"というのがその具体例。企業はこれからこのニューノーマルな世界に対応していかなければならないが、オラクルはそのサポートをすることができる」
同氏によると、ニューノーマルな世界では需要はダイナミックなパターンを描き、企業はその需要を検知して形成していく必要があるが、それをサポートするのが同製品だという。
同製品の詳細は、アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 ソリューション1部 シニアディレクターを務める岡田行秀氏から説明が行われた。
同氏は、「現在、製造業のグローバルオペレーションは世界3極に中国やインドが加わり、多極化しているが、従来の考え方・仕組み・ITでは対応することはできない。Oracle Demantraは多極化したグローバルオペレーションにおいて、需要感知・予測、需要形成・需給を実現する」と説明した。
同製品は、販社や顧客からの需要情報と過去の販売実績に基づき、事業や地域別といった視点から高精度な需要予測をベイジアンアプローチという予測エンジンで実現する。また、同エンジンにより販促計画を立案して確実な需要形成を支援するほか、変化した需要に対して供給を最適化するために、販売・生産・調達などの担当部門間のコラボレーションを自動化して迅速な製販計画調整活動を支援する。
ベイジアンアプローチは同製品の強みとなる要素で、理論的な背景に基づいた仮説と経験に基づく知識を用いて多重比較検定を行い、その結果を時系列に表示することが可能な分析手法だ。
同製品では新機能として、同社の予実管理アプリケーション「Oracle Hyperion Planning」との連携が追加され、財務情報と製販情報を統合的に管理することが可能になった。「グローバルオペレーションにおいて競争力を維持するには、経営層が日時管理を行うなど、現場に入る必要がある。急成長している韓国企業などでは、それが行われている。HyperionとDemantraの連携が実現したことで、経営層の現場への参加が可能になった」と同氏。
同製品を構成するモジュールは次のとおり。最小構成は基本モジュールの「Oracle Demantra Demand Management」のみで、価格は約2,000万円となっている。
- Oracle Demantra Demand Management:需要予測(基本モジュール)
→ベイジアンアプローチによる需要予測、需要分析、コラボレーション、ワークフロー
- Oracle Demantra Advanced Forecasting and Demand Modeling(オプション)
→高度な需要予測(クロス相関、無制限原因要素等)と需要分析(シェープモデリングなど)
- Oracle Demantra Real-time Sales and Operations Planning(オプション)
→需要計画をベースに、営業・財務・調達・生産・物流の製販計画の調整・最適化
- Oracle Demantra Predictive Trade Planning:需要形成(基本モジュール)
→プロモーション計画・シミュレーションと効果分析・シナリオ再採算性評価
- Oracle Demantra Deduction and Settlement Management(オプション)
→プロモーション条件で顧客(小売業者)パフォーマンスをもとに控除と支払を消し込み
- Oracle Demantra Trade Promotion Optimization(オプション) ROIを最大化する最適なプロモーションを提案