イデアインターナショナルは、初台のアップルジャパン本社にて、プロフェッショナル映像クリエイター向け「Final Cut Studioのハンズオンセミナー」を開催。テレビ朝日/NHKなどをはじめ、数多くのTVメディアにて映像制作を担当しているテレコムスタッフの宮内文雄氏が、実際の映像や活用シーンなどを交えながら、「Final Cut Pro」と「Canon 5D Mark II」を用いた映像制作ワークフローについて、説明を行った。
宮内氏は、Canon 5DMark IIを使った撮影およびワークフローに早くから注目し、研究を重ねたという。会場には実際のロケに持っていくというコンパクトな機材セットがそのまま用意されており、さらにリアリティーある解説となった |
本セミナーでは、まず宮内氏が現在の番組制作にも使用しているという、Canon 5DMark IIを使った映像ワークフローを紹介。同氏は、現在Canon 5DMark IIを3台用いる撮影スタイルを基本としており、その映像データはCFメモリーカード(各16GB)40枚ほど、時間にすると約32時間分に相当するという。その以外にも、実際の運用にまつわるデータバックアップ方法(BDやLTOを併用)や、収録済み映像のFinal Cut Proへの読み込み(トランスコード)、フレームレートの変換、編集のスタイル、データの管理、最終的な書き出しや納品に至るまで、非常に実践に即した内容となっており、会場の来場者も熱心にメモをとりながら聞き入っていた。
Canon 5DMark IIで収録された素材を扱う場合、長時間におよぶトランスコード作業が必要になる。この問題については専用に2台のMac Proをアサインすることで解決、これまでのテープメディアによる撮影と、時間的にはほぼ同等の作業時間を実現している |
また、Canon 5DMark IIを使った撮影をより快適なものにするコツとして、Canon純正のコントロールツール「EOS Utility」を活用した撮影方法を提案。EOS Utilityは、コンピュータにインストールされたソフトウェアから、USB経由でカメラ内の設定やシャッターをコントロールできるツール。写真に限ったことでなく動画にも有効であるため、動画撮影の要ともなる絞りに関して、カメラ内蔵の液晶画面では不可能な、よりシビアな調整が行え重宝するという。この手法を応用することで、Canon 5DMark IIによる車載カメラやクレーン撮影なども実現可能になるとのこと。
実際の撮影に使用されているCanon 5DMark IIがボディー横側の端子から、1本のUSBケーブルを使って、EOS Utilityの導入されたMacBook Proに接続されている。ねじれや断線を防ぐため、可動範囲の広いフレキシブルタイプの変換アダプタを採用している |
最後に、元々スチールカメラマンとしてキャリアをスタートしたという宮内氏は、「Canon 5DMark IIは、時間を止めて時空を表す写真ならではの魅力と、時間を保ちながら時空を表す動画ならではの魅力を、1台のカメラで同時に再現可能なツールであり、今までにない新しい形の表現が行える。また、非常にコストパフォーマンスの面も優れているので、ぜひ皆様も積極的に活用してただきたい」と語り、大盛況のうちにイベントは終了した。