東京都、東京文化発信プロジェクト室(財団法人東京都歴史文化財団)、そして六本木商店街振興組合や森ビルなどの地元企業・団体などによって組織される六本木アートナイト実行委員会が主催となって行っている、"真夜中の六本木"をコアタイムとした一夜限りのイベント「六本木アートナイト2010」。
同イベントでは、テーマを「街の見る夢」とし、六本木ヒルズ、六本木商店街、東京ミッドタウンなどを中心としたエリアのいたるところにアート作品をはじめ、デザイン、音楽、映像、演劇、舞踏などの展示、紹介を行った。この日常と非日常が混在する不思議な一夜の様子を紹介していこう。
ビフォア・フラワー
オールナイトでライブやパフォーマンスが繰り広げられていた六本木ヒルズのアリーナに登場した、圧倒的な謎の巨大生命体。同作品は「六本木アートナイト2010」のために用意された椿昇氏の新作「ビフォア・フラワー」だ。椿氏は「花をつける被子植物の影で敗者と捉えられてきた裸子植物は、実は地上に大量の酸素を供給してくれたパイオニアであったこと。その結果、昆虫に始まる複雑で多様性に満ちた世界を創造する原動力になってくれたことへのプレゼントとしてこの作品が生まれました」とコメントした。
ハーバートの夢
東京ミッドタウンの芝生広場に光を放つ巨人が5体。このパフォーマンスはフランスのストリートパフォーマンス集団「カンパニー・デ・キダム」の「ハーバートの夢」。1997年に製作されて以降、世界中で約400回も上演されている彼らの代表的パフォーマンスだという。
ガーデン
浅野耕平氏の作品である、観客参加型アート「ガーデン」。床に落ちている紙ふぶきを宙にまき散らすと、紙吹雪のなかから芽、花が浮かび上がる仕組みになっている。浅野氏は同作品についてこう説明する。「複数の参加者が加わることで、更にカラフルな花が咲き乱れていく作品です。花を咲かせたいという人々の願いが、人と人とが触れ合う場を自然に作り出し、デジタル作品でありながら、紙吹雪と花を使うことでアナログな感覚をも触発する作品です」
天からの手
ヒルズのウェストウォークに掲げられた巨大スクリーンには、六本木アートナイトのなかをさ迷うギャラリーたちが映し出されていた。そのスクリーンの中に筆者も入ってみると、突如、巨大な手が現われた。この作品はクリス・オシェイの作品「天からの手」。クリス・オシェイは、同作品について「旧約聖書にある巨人ゴリアテの話にインスピレーションを得て作られた作品で、人々に『もし人間が食物連鎖の頂点にいなかったらどうなっていただろう?』という問いも込められています」と説明した。
オーロラ’10 Roppongi
"オーロラの感触"を楽しめる、愛知県瀬戸市在住のアーティスト・市川武史氏の作品「オーロラ’10 Roppongi」。オーロラのような模様が描かれた化学繊維の布を筒状に吊るした作品だ。オーロラ全体を外から眺めることもできるし、オーロラの中に入って徘徊することも可能となっていた。
青い宝石
うっすらと青い光を放つサファイアのような作品「青い宝石」。この作品は、現在は東京を拠点として活躍している女性アーティスト、サラ・ドラタバディ氏の作品だ。