マイクロソフトは3月29日、第3回目となるOffice 2010の記者説明会を開催し、企業向けの導入支援策について説明を行った。なお、Office 2010は、ボリュームライセンスが5月12日から提供され、パッケージ版は6月に提供が開始される予定。
マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 シニアプロダクトマネージャーの松田誠氏は、企業がOffice 2010を導入する上での課題として、「互換性検証」、「トレーニング」、「導入・展開」という3つを挙げた。同社が行ったアンケート調査によれば、6割の企業が互換性検証を、5割の企業がトレーニングを、3割の企業が導入・展開を課題として挙げているという。
互換性検証では、マクロの動作検証やレイアウト崩れがないかの確認、トレーニングでは、利用者向けの操作トレーニングやヘルプデスク整備のほか、マニュアルの作成・修正など、導入・展開では、インストール作業やメンテナンスなどが問題になるという。
互換性検証の支援策として、同社では「Office 導入支援センター」の設置を行っている。このセンターは昨年9月に設立され、大塚商会、日本システムディベロップメント、CSK Winテクノロジとともに、ユーザー環境の互換性検証と導入支援、各種コンテンツ作成などを実施している。目的は、マイクロソフトとパートナーが持っているノウハウを集約してユーザーに提供することで、何か不具合があった場合はすぐに開発チームにフィードバックし、問題解決を図っているという。ここで得られた情報は、ポイントをまとめたホワイトペーパーとして、出荷後60日以内に同社のWebで公開される予定だ。松田氏によれば、ユーザーが実際利用しているファイルを送ってもらい検証しているので、より実践的なものが提供できるという。
トレーニングについては、「Office 2010クイックガイド」「Office 2010トレーニングビデオ」「Office 2010Tips集」の無償提供を行う。これらは5月からWeb上の「Office トレーニングセンター」で公開するほか、7月からはDVDコンテンツ「Office 2010トレーニングキット」の配布を行う。DVDの内容はコピーして自由に配布が行えるという。
導入・展開について、同社はアプリケーションの仮想化「Application Virtualization」(App-V)の利用をすすめている。App-Vは、パッケージ化されたアプリケーションをサーバからクライアントにストリーミングで配信する仕組みだ。配信されたパッケージはクライアントにキャッシュされ、ローカルのリソースを使って実行される。サーバから配信するため、サービスパックの適用は管理者が新たにパッケージを作成することにより完了する。新しいパッケージは差分のみが配信され、サービスパック適用後に不具合があった場合は、過去のバージョンに戻すこともできる。また、配布されるパッケージは独立して実行されるため、通常は行えないバージョンの異なるOfficeの同時実行もできる。
App-Vはクライアントにインストールするわけではないので、インストール時間を短縮できるほか、支店など遠隔地の場合でも、現地に行かなくても展開できる。また、インストールのために各クライアントに管理者権限を与えなくもいいので、セキュリティ上のメリットもあるという。