Advanced Micro Devices(AMD)は3月29日、サーバ向けプロセッサとして、12コアもしくは8コアを搭載した「AMD Opteron 6100シリーズ」(開発コードネーム:Magny-Cours)を発表した。また、同CPUにチップセットなどを含め2ソケットもしくは4ソケットサーバに対応するプラットフォームを「AMD Opteron 6000シリーズ」というプラットフォームとし、2010年第2四半期中に1ソケットもしくは2ソケットサーバ向けCPU「AMD Opteron 4100シリーズ」(開発コードネーム:Lisbon)とそのプラットフォーム「AMD Opteron 4000シリーズ」の提供を開始することも明らかにした。

Opteron 6100シリーズのダイ画像

Opteron 6100シリーズのパッケージ

Opteron 6100シリーズは、4もしくは6コアのダイを1パッケージに2つ搭載するMCM(Multi-chip-Module)構成のプロセッサ。45nm SOIプロセスを採用しGLOBALFOUNDRIES(GF)のドレスデン工場が前工程の製造を担当する。

Model Number コア数 CPUクロック ACP 単価
(1,000個時:ドル)
6176 SE 12 2.3GHz 105W 1,386
6174 12 2.2GHz 80W 1,165
6172 12 2.1GHz 80W 989
6168 12 1.9GHz 80W 744
6136 8 2.4GHz 80W 744
6134 8 2.3 80W 523
6128 8 2.0GHz 80W 266
6164 HE 12 1.7GHz 65W 744
6128 HE 8 2.0GHz 65W 523
6124 HE 8 1.8GHz 65W 455

AMDのDirector of Business Development,Server/Workstation DivisionであるJohn Fruehe氏(手にしているのがOpteron 6100)

これまでの1ソケット、2ソケット、4/8ソケットというプラットフォーム構成からOpteron 6000シリーズと同4000シリーズという2つのプラットフォームにしたことについて、AMDのDirector of Business Development,Server/Workstation DivisionであるJohn Fruehe氏は「現在のサーバ市場のニーズは、1W当たりのパフォーマンスと投資対効果。つまり、1W当たりの価格性能比が重要となってきている。こうしたニーズに対し、Wあたりのパフォーマンスと拡張性を考慮した2/4ソケット対応プラットフォームと、電力効率およびコスト効率を意識したプラットフォームの2つを用意したことで、従来の概念から離れることが可能となった」とし、将来のCPUアーキテクチャである「Bulldozer」(開発コードネーム)へ向け、よりプラットフォーム間の共通項(チップセットやフィーチャのみならず、BIOSやAPI、ソフトウェアなども含む)を増やしたことで、IT管理者の負担軽減が可能となったことを強調する。

AMDのサーバプラットフォームロードマップ

プラットフォームごとの違いをなくすことで、IT管理者の負担軽減を狙う

また、「サーバ市場の75%を占めるのが2ソケットサーバ。この巨大な市場に2つのプラットフォーム双方の照準を合わせつつ、1ソケットと4ソケットへと対象を広げていくことで、サーバメーカーならびにエンドユーザーにより高い価値の提供が可能となる」(同)としている。特に4ソケットサーバは、プロセッサだけでも2ソケット対応版の2.5倍の価格で、ハイエンド向けということで、さまざまな機能を加えることで非常に高価なサーバとなっていた。「経済が低迷する中、エンドユーザーはサーバの価値を見極め、低い投資で最大限の効果を出したいと考えている。そうすることにより浮いたコストを、より優秀な人材の引止めや拡充などへ回すことが可能となるからだ。我々は、そうしたことが真に可能となるように、2ソケット向けCPUと4ソケット向けCPUを同じ価格にし、より高い性能を低コストで実現できるようにした」(同)と、4ソケット向けCPUのあり方そのものを見直したことを強調する。

また、4ソケットサーバの市場シェアは10年前には10%あったが現在は4%に減少、このまま行けば消えてしまう可能性があるとの見方もあるが、「こうした状況を抜本的に見直す必要があった。結果として、2ソケット向けと同じコストで4ソケット向けを出せれば、市場に4ソケット向けのパフォーマンスを生かそうと思う動きが出てくるはずと考えた」(同)と、4ソケット品を活用することで、例えば2ソケットサーバ2台分が4ソケットサーバ1台で済むことからスペースの余裕が生まれたりといったことも可能となることから、より多くのプロセッサパワーが必要となるHPCやスーパーコンピュータ分野ではこうした低コスト4ソケットサーバがメインになる可能性を示唆した。

2ソケットと4ソケット向けを同じ価格で提供することで、4ソケットサーバがパフォーマンスを活用しやすくなる

さらに、同プロセッサは、価格面だけではなく、機能面も従来世代から強化が図られている。Direct Connect Architecture 2.0の採用により、「同1.0では1プロセッサ当たり2チャネル/8DIMMのサポートだったものが、同2.0では4チャネル/12DIMMへと向上したほか、4プロセッサ時に接続できるレーン数を増やしたことで、CPU間の通信速度は33%向上した」(同)というほか、メモリそのものもU/R DDR3-1333への対応が図られたほか、LV-DDR3への対応も実現。これにより、大量に搭載した場合でもメモリの消費電力を低減することが可能となる。

Direct Connect Architecture 2.0によってCPU間の通信速度を従来比で33%向上させることに成功した

低消費電力としては、メモリのほかにも「C1E power state」によるCPUの電力削減機能や、高発熱時に動作クロックを落とすことが可能な「AMD Cool Speed Technology」、電力やクーラーなどのリモート監視を可能とする「APML(Advanced Platform Management Link)」も搭載しており、従来世代に比べてより高い電力効率を実現できるようになったとしている。

各種の低消費電力化技術などの搭載により、トータルでの低電力化が可能となっている

なお、AMDでは、Opteron 6000シリーズを用いることで、ユーザーは4ソケットサーバを身近なものとして活用できるようになり、サーバに対する「価値の再定義を行うこととなるはず。それは、結果的にデータセンターというようなもののみならず、IT全体の投資効果そのものを見直すきっかけとなるはずだ」(同)としている。

4ソケットサーバを手に届く価格帯へと下げ、なおかつパフォーマンスを向上させることは、サーバへの投資価値を再定義させることにつながるとしている