内田洋行は3月19日、同社新川オフィスのユビキタス協創広場「CANVAS」において、教育分野における3Dinternetの利用などをテーマに、「3Dinternet Education Summit 2010」を開催。教育関係者など約40人が参加した。

内田洋行の新川オフィスのユビキタス協創広場「CANVAS」で開催された「3Dinternet Education Summit 2010」

内田洋行では3D Internetの代表的存在のひとつである「セカンドライフ」上での教育の可能性を模索。同社が中核的役割を果たす3Di研究会には、100を超える教育関連団体関係者などが参加しており、3D Internetに関する実証実験などの活動を行っている。

3Di研究会は、3Dinternetの教育利用に関する研究を進めることを目的としており、教育関係者の3Dinternetに関する知識の底上げ、情報交換のほか、教育分野での3Dinternetの利活用方法の研究/実用化などについて研究を行う。

内田洋行 知的生産性研究所 高橋祐人氏

内田洋行の知的生産性研究所 高橋祐人氏は、「セカンドライフで流通する通貨の取引高は年間500億円規模に達しており、前年に比べて65%も伸びている。この伸びを支えているのは日本だともいわれているほどだ。かつてのようにセカンドライフで遊ぶというものから、いまでは活用するという観点で使われはじめている。今回のサミットは3年目となるが、1回目は多くの人に知ってもらうということに力を注いだが、2回目となる昨年はビヨンド・ザ・インターネットをテーマに、より深く3Dインターネットを理解してもらうものとした。それに対して、3回目の今年は、3Dインターネットがあらゆる場面で実践されるシーンを紹介した」とする。

内田洋行でも、セカンドライフ内に「UCHIDA EDUCATION 島」と呼ばれる区画を確保。これを利用して、教育機関や企業など研究活動を行っている。「内田洋行は創業から100年を迎える企業であり、これまで物販を中心にビジネスを拡大してきた。だが、これからはコンテンツをネット上で提供するというビジネスにも力を注いでいく」として、同社の主要顧客である教育分野やオフィスを中心とした提案を進めていく姿勢を示した。

今回の3Dinternet Education Summit 2010では、首都大学東京 渡邉英徳准教授が、「Tuvalu Visualization Project/大学と応用芸術ベンチャーとしての活動」をテーマに、ツバルの人々のポートレート写真集「ツバルに生きる一万人の人類」と、GPSフィールドワークで撮影したツバルの日常風景を、Google Earth上にマッピングして可視化したプロジェクトを紹介。また、神田外語学院の今岡幸美氏が、「セカンドライフ全学規模・必修科目としての導入までの取り組み」と題して、神田外語学院が2010年4月から、セカンドライフを語学学習ツールとして全学規模で必修科目に導入する授業の内容について紹介。また、宮城教育大学 安藤明伸准教授が、「仮想空間で技能の観察学習は可能か?」として、モーションキャプチャで取り込んだ人の動きを仮想空間で観察する授業を実践し、学習効果を考察するといった取り組みについて説明するなど、6人が講演。参加者は熱心に耳を傾けていた。

NTT 新ビジネス推進室 高屋洋一郎氏は、「3Dインターネット分野におけるNTTの取り組み」として、同社の3Dインターネット分野に関する取り組みについて説明。「NTTでは、体験型ショールームやeコマースなどの領域、イベントやセミナー、会議などのコミュニケーションとしての領域、eラーニングなどの教育分野への取り組みという、3つの観点から3Dインターネットの可能性を捉えている。3Dインターネットは一時のような盛り上がりはないが、幻滅期を過ぎて、実用フィールドに入りつつある。実際に3Dバーチャルセミナーを行ったところ、85%が満足と回答。英会話教室では、相手に顔が見えない点や、匿名性のなかで英会話の授業を受けられるといった3Dバーチャル環境ならではのメリットに対して、高い評価があがっている。だが、使用するPCに高いスペックが要求されること、不安定であり落ちるケースがあること、企業のファイアウォールを超えられないこと、初回のダウンロードに時間がかかりすぎるなどの課題があるが、こうしたものをひとつひとつ解決していかなくてはならない」などと語った。

東京情報大学の井関文一教授は、OpenSimのソースコードにスクリプト関数とモジュールを追加することでセカンドライフにおいて地形を立体的に再現する手法を紹介した

ソーシャルマインドのEdomond Edgar氏は、Moodle LMSとセカンドライフやOpenSimを連動させるオープンソース学習管理システム「SLOODLE」を紹介

NTT 新ビジネス推進室 高屋洋一郎氏は、NTTにおける3Dインターネット分野に関する取り組みについて説明