SAS Institute Japanは3月24日、主に製造業を対象に製品販売後のアフターサービス市場向けの新ソリューション「SAS Warranty Analysis」および「SAS Service Parts Optimization」の提供を4月1日より開始すると発表した。

両製品は、アフターサービス市場において、顧客満足度を維持・向上しつつ、製品保証に要するコストの削減と補修部品の在庫最適化を実現し、サービス品質の向上および収益性向上を支援する。

SAS Institute Japan 執行役員 ビジネス開発本部権プロフェッショナルサービス本部長 宮田靖氏

執行役員 ビジネス開発本部権プロフェッショナルサービス本部長を務める宮田靖氏は、同社が両製品を投入する背景を説明した。

「現在、製造業において、修理費やパーツ費といった製品保証のために費やしているコストの負担が重い。同時に、製造業は価格競争が激化しており、製品保証のコストを削減することが競争力強化につながる。なお、製品保証のコストを削減するからといって、顧客満足度を低下させては意味がない。つまり、製品保証コストの削減と顧客満足度の向上を両立させる必要がある」

設計品質と製造品質の向上によって、クオリティの高い製品を作りこんでいくことが第一だが、製品が使われる環境はさまざまであり、不具合をゼロにすることは難しい。そこで、製品出荷後の市場における品質を評価し、それを製造のプロセスにフィードバックできる仕組みが必要だという。

加えて、「製造業では、アフターサービスがよかったら、"これからもその製品を使い続けたい"、"次もそのメーカーの製品を使いたい"」というライフサイクルを築く体制が必要」と同氏。

このように、製造業で顧客起点の価値向上と製品保証コストの削減を実現するのが、今回発表された2製品となる。

「SAS Warranty Analysis」と「SAS Service Parts Optimization」の役割

SAS Institute Japan ビジネス開発本部 SCIグループ部長 野口望氏

2製品の詳細については、ビジネス開発本部 SCIグループ部長を務める野口望氏が説明を行った。

SAS Warranty Analysisは、予見力によって製品保証に要するコストを削減するための製品だ。製品保証業務の分析に適したモデル、分析を支援するツール群、情報整理・情報共有のための基盤から構成される。

同製品は、同社独自の検知モデルによって製品の不具合を迅速に発見するとともに、不具合の原因解明のための解析時間と品質関連部門へのフィードバックに要する時間を短縮する。

「SAS Warranty Analysis」の構成(左)との不具合検知モデルの仕組み(右)

同製品はすでに欧米の製造業ですでに導入が進んでいる。同氏によると、ある家電メーカーでは同製品を用いることで、製品の不具合を認識する期間が6ヵ月、不具合の要因を探索する期間が3ヵ月短縮されるとともに、製品保証コストが2分の1に削減されたという。

また「SAS Service Parts Optimization」は、「統計モデルを用いて適正在庫量を算出すること」、「システムで判断可能な業務は自動化し、例外業務など高度な判断を要する業務のみ人間が関わること」を実現する。

SAS Service Parts Optimizationで用いられる在庫計画エンジンは、エンドユーザーへの供給目標をターゲットに、多階層ネットワークで在庫とコストのバランスをとる。同氏によると、このエンジンを構成する需要予測はすでに日本でも利用されているという。

「SAS Service Parts Optimization」の在庫計画エンジンの仕組み

両製品の標準構成の価格はそれぞれ5,000万円となっている。