ソーシャルアプリ市場への期待感を示すように、会場には多くの開発者が詰めかけた。GMOインターネットは18日、東京都内で「『アプリやろうぜ! by GMO』プロジェクト キックオフカンファレンス」を開催し、同市場に取り組む開発者への支援策を説明した。

『アプリやろうぜ! by GMO』プロジェクト キックオフカンファレンスが開催

オープンプラットフォームで収益化のチャンス

mixiやモバゲータウン、GREEら大手SNSが進めるオープンプラットフォーム戦略。ソーシャルグラフ(SNS上の交流関係など)や課金システムが開放され、サードパーティはそれらを利用することでSNS上で収益を得ることが可能になった。とりわけソーシャルグラフを利用したアプリケーション、"ソーシャルアプリ"への注目度は高い。昨夏より開始された「mixiアプリ」では、「サンシャイン牧場」など数百万ユーザーを獲得するタイトルが現れている。他社でもモバゲータウンが1月に、GREEは3月に携帯電話向けゲームでのプラットフォームのオープン化を発表した。いずれも1,000万人を超えるユーザーのコミュニケーション基盤であり、課金サービスも利用されている。そこでビジネスを展開することへの期待感は大きい。

熊谷正寿 GMOインターネット代表取締役会長兼社長

アプリやろうぜ! は、そうしたオープン化するSNSの動きに呼応し、ソーシャルアプリビジネスに乗り出したいデベロッパーらを支援するプロジェクトだ。総額費用は3億円。mixi/ モバゲータウン/ GREEいずれか(またはすべて)に向けたソーシャルアプリ企画を募集し、2010年6~8月のリリースを目指す。審査ではオリジナル性や収益モデルなどが考慮され、採用企画には資金、開発環境、インフラ、マーケティング、海外進出面などの支援が実施される。チーム、個人、法人での応募が可能だ。GMOインターネット代表取締役会長兼社長の熊谷正寿氏は「ビジネスとして本気で成功を考える人、自分の力を試したい優秀なクリエイター、エンジニアを求めている。GMOがその最初の一歩を提供したい」とプロジェクトへの参加を呼びかけた。

開発費の支援では1チーム・法人あたり、300万~3,000万円を想定。インフラ面では、サーバ運用のノウハウを持つGMOインターネットから開発用サーバなどが無償提供されるほか、本リリース後も「ほぼ原価」で提供する予定。審査対象となる収益モデルは「アイテム課金」型がポイントになるという。リリース後のソーシャルアプリの収益は開発側とプロジェクト側で分配され、比率は8:2となる。プロジェクトの参加条件や審査員、支援内容の詳細については公式サイトを参照してほしい。

プロジェクトに参加するメリット

ソーシャルアプリ市場への期待感

キックオフカンファレンスでは、ソーシャルアプリ市場の可能性に関する肯定的な見解が述べられた。ディー・エヌ・エー取締役 守安功氏は、昨年10月以来、モバゲータウンのPVが急上昇した要因は、自社製ソーシャルゲームの投下にあると説明。「とんでもない勢いで売上利益が拡大している」(守安氏)。ソーシャルアプリ市場は3,000億円規模に成長するポテンシャルを持つとし、良質なタイトルの投入がキーになるとの見解を示した。

ディー・エヌ・エー 取締役ポータル事業本部長兼COO 守安功氏

ブレイクスルーパートナーズ マネージングディレクター 赤羽雄二氏

ブレイクスルーパートナーズ マネージングディレクター 赤羽雄二氏は、資金面でも参入しやすいソーシャルアプリ市場を、「エンジニアにとって、受託開発から抜け出す最高のチャンス」と説明する。成功事例として、創業2年半で時価総額1,000億円を超える企業に成長したソーシャルゲーム専業のZynga社を紹介。同社が11人のチームで5週間で開発した牧場ライフゲーム「FarmVille」は現在、米Facebook上で月間8,000万を超えるユーザーに楽しまれている。赤羽氏は、ユーザー間のやりとりが重要になるソーシャルアプリ(ゲーム)の開発には、多様なゲーム性や世界観を生み出してきたゲーム開発の経験が活きるとし、日本発のソーシャルアプリベンダが増えていくことへの期待を語った。

アプリやろうぜ! プロジェクトの継続性について熊谷氏は、プロジェクト費用の回収を条件としつつ、「第2弾も考えている。希望としては続けていきたい」。第1弾は30件ほどのプロジェクトを採用する予定となっている。

グリー代表取締役社長 田中良和氏は、GREEのオープンプラットフォーム戦略を紹介。ゲーム以外のソーシャルアプリにチャレンジする人の参加も歓迎したいと語った

ミクシィ代表取締役社長 笠原健治氏からも、ソーシャルアプリ市場のポテンシャルに期待する言葉。まずユーザーとして各プラットフォームを使い込むことが成功への道と説明した