伊藤忠商事は3月19日、戸田工業と米国ミシガン州バトルクリークにおいてリチウムイオン電池の主要部材である正極材の生産・販売を行う合弁会社を設立すること、ならびに正極材原料を生産するカナダオンタリオ州の戸田工業の子会社「Toda Advanced Materials(TAM)」を合弁会社とすることで基本合意に達したことを発表した。
米欧での次世代自動車として期待される電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池用正極材工場を米国で建設することで、電池メーカーへの供給拠点とするのが狙いだという。
新工場は2010年春に着工し、2011年には操業開始が予定されており、主に米欧の電池メーカーに向けて正極材の出荷を行う計画。投資額は約7,000万ドルで、2015年までに段階的に生産規模を拡大させ、、電池正極材の生産能力をEV換算で年産8万台相当の規模まで引き上げるほか、同時に次世代の正極材の開発も進めていく予定としている。
戸田工業は、2009年米国エネルギー省(DOE)が米国再興・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act of 2009)に基づき発表した、次世代プラグイン・ハイブリッド車、EV、定置型大型電源に使用されるリチウムイオン電池、およびその高性能電池部品の製造業の育成のための助成プログラムに着目、米国子会社であるToda America Incorporated(TAI)を経由して申請を行い、2009年8月、3,500万ドル(投資総額の50%)の認可を取得、2010年2月5日に正式契約を締結している。
また、両社はTAMを合弁会社とすることで、米国・カナダ両国の事業を共同運営し、原料から正極材までの一貫製造体制を両社で整えることが可能となるほか、原料確保から正極材製造・販売まで、米国・カナダ2カ国にまたがる経営を円滑に進めるために、米国、カナダ両工場に伊藤忠商事・戸田工業から経営者を派遣するとともに、両社の経営を有機的に結びつける経営体制を構築していくとしている。