米HP コミュニケーション・メディアソリューション バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのアーワン・メナード氏

日本ヒューレット・パッカードは3月17日、通信事業者向けSaaSビジネスプラットフォーム「HP Aggregation Platform for SaaS」、および企業内通信サービスをクラウド形式で提供するコミュニケーションサービス群「HP Communication as a Service」を発表した。

HP Aggregation Platform for SaaSは、中堅・中小企業向けSaaS型サービスを集約するためのプラットフォーム。ユーザーに課金するためのコンポーネントや、事業者間精算を行うためのコンポーネント、シングルサインオンを実現するためのコンポーネント、SaaS導入を検討する人が訪れるための「マーケットプレースポータル」、契約者が各種サービスにアクセスするための「利用者ポータル」など、SaaSの共通部品となるようなコンポーネントが多数用意されており、SaaS事業者は各コンポーネントのAPIを通じて必要な機能を利用することになる。

HP Aggregation Platform for SaaSのリファレンスアーキテクチャ

米HP コミュニケーション・メディアソリューション バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのアーワン・メナード氏は、同プラットフォームについて、「通信事業者はもちろん、SaaS型サービスを提供するISVや、サービスを利用する中堅・中小企業にも大きなメリットが生じる」と説明する。

日本HP 通信・メディアソリューションズ統括本部 シニアエグゼクティブコンサルタント 伊藤亮三氏

通信事業者に対しては、「中堅・中小企業とSaaS事業者を結び付けるハブとして機能することになり、そこに新たなビジネスチャンスが生まれる」とし、ISVに対しては「新規サービスの開発が容易になるうえ、提供中のサービスが導入検討者の目に触れる機会が増える」という。また、中堅・中小企業に対しては、SaaSを導入しやすい土壌が出来上がるため、「最新のサービスをタイムリーかつ低コストで利用できる」といった利点を提供することができる。

特に、通信事業者は「今後、通信トラフィックの激増が予想される一方で、定額料金プランなどの普及により、それに見合った収益が見込めない厳しい状況にある」と言い、HP Aggregation Platform for SaaSは「そうした状況の中で、トラフィックをマネタイズする(収入に換える)機会を与えるプラットフォームになる」と強調した。

通信事業者が扱うトラフィックと収益の推移

また、HPでは、HP Aggregation Platform for SaaSの発表に併せ、同プラットフォーム上で動作するコミュニケーションサービス群「HP Communication as a Service」も発表した。

同サービス群は現在のところ、電話問い合わせ時にボタン操作等に応じて自動応対を行う「Self Servise IVR(Interactive Voice Response)」、店頭などの監視モニターで撮影した動画を管理する「Video Surveillance」、コンタクトセンター機能を提供する「IP Contact Center」、ユニファイドコミュニケーションを実現する「Unified Communications」の4サービスが提供されている。これらはいずれも、昨年の調査において中堅・中小企業の導入ニーズが高かった分野で、今後、投資の積極化が見込まれているという。

なお、HP Communication as a Serviceに含まれる4サービスのうち、Self Servise IVRとVideo SurveillanceはHPが開発したサービスだが、残る2つはサードパーティ製のものになる。米HPでは今後もサードパーティ製サービスの開発を推進していく考えで、ISVからの問い合わせや相談に応えられる体制を整えているという。

HP Communication as a Serviceの概要