2月3日より5日まで行われた印刷メディア展示会、PAGE2010。各社の出展については「『PAGE2010』-- 注目各社による今年の動向を総まとめ」のレポートを参照されたい。同レポートに引き続き、今回のPAGE2010で注目のハードウェア3製品を紹介する。第3回は、富士フイルムグラフィックシステムズによるレーザー・ゼログラフィー方式の高速カラープリンタを紹介しよう。
富士フイルムグラフィックシステムズ(富士ゼロックス)
Color 1000 Press(4,500万円より)
本製品は参考出品ではなく、1月29日に発売された富士ゼロックス社の新製品。100ppm(A4ヨコ毎分100枚)のレーザー・ゼログラフィー方式の高速カラープリンタである。80ppmの従来機DocuColor 8000AP Digital Press(3,300万円より)の上位にあたるが、80ppmの姉妹機Color 800 Press(3,500万円~)も同時発売されているため、実質的にはDocuColor 8000AP Digital Pressの後継と言えるだろう。なお、富士ゼロックス社のラインナップでは110ppmのXerox iGen4 Press(8,900万円より)も存在するが、こちらは米国(ゼロックス・コーポレーション)の製品だ。Color 1000 Pressは国産の量産型オンデマンドプリンタとしては初の100ppmを超えた製品となる。
最新機種らしく、現像工程や定着工程にさまざまな新開発技術が盛り込まれているが、それらは上の内部構造図を参照していただくとして、ここでは本機の特徴でもあるオプションのクリアトナーについて語りたい。
クリアトナーののせ方は、CMYK+クリアトナーの上塗り以外に、白紙にクリアトナーのみのせる、プリントした用紙を再度セットして、クリアトナーを重ね塗りするといったオプションが選べる。
のせ方の種類としては、写真右のジョブ編集画面に見られるとおり、(1)パターンにのせる(写真下参照)、(2)写真のみにのせる(写真部分に光沢感)、(3)特色/RGB/CMYKにのせる(任意のカラーオブジェクトに光沢感)、(4)指定版を置き換えする(任意の版をクリアトナーに置き換え)、(5)有色部にのせる(有色部分すべてにクリアトナーを上塗り)といった5種類の方法が用意されている。
(1)の「パターンにのせる」はServerManager上の「クリアパターン管理(写真左)」から、登録済みのパターンを選択してクリア加工を施す。写真右は登録済みの飾り罫と蝶のクリアパターンをプリントした結果 |
(5)の「有色部にのせる」にオプションで用意されている「エンボス紙へのプリント」はユニークだ。
一般的に、表面に凹凸のあるエンボス紙にプリントを行った場合、用紙の凹部にトナーがキチンとのらず、転写ベルトにトナーが残ってしまうため転写不良がおきやすい。しかしながらクリアトナーをのせる場合は、有色トナーを圧迫してクリアトナーが転写ベルトに残留するだけになるので、転写不良が防止でき、かつ、エンボス紙への定着強度が高められる。写真下はレザックへクリアトナーを出力したサンプルである。
これらクリアトナーの特徴以外にも、55g/m2の薄紙にも対応するなど(写真下)、従来の普通紙ベースのオンデマンドプリンタとは異なる特徴をもったオンデマンドプリンタと言えよう。