本稿では、Omniture主催のユーザーカンファレンス「Omniture Summit 10」で行われたブレイクアウトセッションのうち、ソーシャルメディアの活用例に関するセッションの模様をお届けしたい。
「Omniture Summit 2010」では"Social Media"のほか、"Social Engagement"や"Social CRM"などといったように、"ソーシャル"がキーワードとなるセッションが目立った。そのひとつ「Creating Social Media Advocated for your Brand」では、Adobeのソーシャルメディア担当Brian Watkins氏が、Twitterやfacebookといったソーシャルメディアの中で、企業ブランドへの支援を得るための手順と測定/最適化についての一例を説明した。
「エバンジェリスト=無報酬の戦士たち」を探し出し、味方につける
Watkins氏は「多くの消費者たちは企業ブログを信用しておらず、ほとんどのFacebookやTwitter活用も効果を発揮していない。もし何の戦略もなくやるなら時間の無駄だ」と説いた。
また、Twitter上でのOmniture製品に対する質問に受け答えする利用者たちの"つぶやき"を紹介し、「彼らのような、社員よりもパワフルな『エバンジェリスト』たちは、新しい顧客を集めたり、顧客へのアドバイスを行ったり、企業と一緒にコンテンツを作り出す上に、ショップサイトへのトラフィックを活性化してくれる『無報酬の戦士(Army)』たちだ」と述べた。
エバンジェリストをどう見つけ出すのか。「悪評も含め"声に耳を傾けること"から始めるべきだ」と語る。そして、
- 相手の人物像を確認し、
- (可能であればオフラインも含めた)関係を築き上げ、
- 企業としての方向性を示し理解を得た上で、こちらのやり方を取り入れてもらう
といった手順が必要だと述べ、その際には「決して無理強いや義務化をしないことを念頭に置くべきである」とも語った。
さらにListen → Plan → Optimize → Listenというサイクルを繰り返し、最適化に向けて繋げて行くことが重要だとする説明の中で、「Omniture SiteCatalyst」のTwitter連携機能を使ったキーワードやフレーズによるフィルタリングや、支持者と反支持者などステータス別/グループ別にモニタリングする例などが紹介された。
同氏の「ソーシャルメディアの活用は費用がからないと考えているなら改めるべき。そこにパワーを持たせるためには、それなりの労力を費やさなければいけない」というメッセージが印象に残った。
USA Todayケーススタディ
また、本セッションでは、『USA Today』の担当者が2007年からソーシャルメディアに本腰を入れて取り組んできた内容も紹介された。
- 記事へのコメント欄とレコメンドボタンを追加
- 読者のプロフィールページや各SNSとの情報共有ボタンなど、コミュニティ作りのためのオプションを追加
- 社内にはソーシャルメディア担当者を置いた
- TwitterやFacebookに記事のアップデート内容を随時掲載
- 各サイトで挙げられる質問やコメントへの回答を行う
上記のような取り組みを続けた結果、2007年3月と2010年1月の比較では、リファラ数が全体で6%(3,600万 → 3,800万)増加した。特にFacebookは1万2,000から32万、Twitterは100から16万へと大幅に増えている。
数値もさることながら、ソーシャルメディアを活用する新しい層へリーチできている意味も大きいだろう。担当者は、的確な文字数に集約してTwitterやFacebookへリアルタイムに掲載することで「読者側との速度合わせが可能になる」と話していた。
さらに今後は、「利用者が興味を持つ記事のタイプやテーマを理解すること」「読者の好みに合わせて閲覧や検索がしやいようにコンテンツを整理していくこと」を念頭に、ソーシャルメディアにおけるメトリクスのレビューを行い、それを反映した利用者向けのパーソナルツールとして、ウェジットを提供していく予定だという。