STMicroelectronicsは3月17日、トランシーバ、放送用機器、MRIスキャナなどの高周波(RF)アプリケーション用のハイパワー・トランジスタを実現するプラスチック製エアキャビティ・パッケージ(ST Air Cavity:STAC)を発表した。

従来、RFアプリケーション用ハイパワー・トランジスタ向けにはセラミックパッケージが多く用いられてきたが、同技術はセラミックパッケージ比で熱抵抗、重量、コストの低減が可能となるという。

STACパッケージにおける接合部とケースの熱抵抗(RTH)は0.28℃/Wで、同等のセラミックパッケージ比で約20%の改善が行われている。これにより、通常使用時におけるチップ放熱が改善され、信頼性の向上と共に利得と出力が拡大する。

高周波(RF)アプリケーション用ハイパワー・トランジスタ向けプラスチック製エアキャビティ・パッケージ

また、同パッケージで提供される製品は、平均故障時間(MTTF)がセラミック製パッケージで提供される製品に比べ最大4倍になるほか、75%の軽量化が可能なため、航空電子システムやモバイル機器等の設計者は、その利点を活用することが可能となる。

さらに、同パッケージは、セラミックパッケージのサイズに合う2種類のタイプ(はんだ付け、またはボルト締め)が用意されているため、既存設計の置き換えが可能だという。

同社では、VHF MOSFET(100V耐圧)「STAC3932B/F」を含め最高250MHzまでのアプリケーションを対象した3種類の新製品に、同パッケージ技術を採用。STAC3932B/Fでは、プラスチック製エアキャビティ・パッケージ(はんだ付け、またはボルト締め)を採用することで、26dBの利得と最大900Wのパルス・パワー出力を維持することができる。

なお、ボルト締め型のプラスチック製エアキャビティ・パッケージを採用した製品は現在量産中で、はんだ付け型のエアキャビティ・パッケージを採用した製品は現在サンプル出荷中で、2010年第2四半期に量産を開始する予定となっている。