三洋電機は、3月16日、世田谷区営の世田谷区桜新町レンタサイクルポートに、太陽電池と二次電池を組み合わせたスマートエナジーシステム(SES)を納入。世田谷区のソーラー駐輪場としてオープンした。
世田谷区はすでに京王線桜上水駅にソーラー駐輪場をオープン。また、三洋電機の電動ハイブリッド自転車「eneloop bike」を桜上水駅に40台、小田急線経堂駅に20台、桜新町駅に40台の合計100台を配備。「区内外の人たちが環境に配慮したコミュニティサイクルとして、利用できるようにしている」(世田谷区)という。
世田谷区桜新町レンタサイクルポートは、東急田園都市線桜新町駅西口徒歩1分にある駐輪場。ソーラー駐輪場では、屋根に設置された三洋電気のHIT太陽電池で発電した電気を、大容量リチウムイオン電池に蓄え、同社の電動ハイブリッド自転車「eneloop bike」などで活用できるようにする。
大容量リチウムイオン電池に蓄えた電力は、雨天が続いて発電ができない際などに利用されるほか、ACコンセントを利用して、災害時や停電時などの非常用電源としても利用できるという。
屋根には、約46平方メートルの面積を持つ、36枚のHIT太陽電池パネルを設置。7.56kWの出力を実現。これを1ユニットあたり13直列24並列、312本の18650リチウムイオン電池で構成されるユニット「DCB-101」を6ユニットを使用し、構成する大容量蓄電システムに蓄電。同社が特別に開発した、直流電源のまま充電できるeneloop bike用の充電池機を利用して、eneloop bikeのバッテリーに充電。これをeneloop bikeに搭載して、貸し出しを行う。さらに、屋根の内側部にはLEDライトを設置しており、夜間などの暗い時間帯にも省エネ証明として利用できる。
三洋電機 国内CRM本部 SES営業部 主任企画員の北田竹馬氏は、「ソーラー駐輪場は2009年4月から検討をはじめたもの。エネルギーを有効利用するというSESの取り組みのなかでの成果のひとつ」とした。
また、三洋電機 エナジーソリューション事業統括部 営業企画部 倉田昌和部長は、「ソーラー駐輪場は、化石燃料をいっさい使わない完全独立型のクリーンなシステムであり、今後社会的に広がりを見せるであろう、身近で便利なクリーンエネルギーシステムの先端事例となる。SESとしては、大規模なものでないといけないという認識があるが、今回のような小規模システムでも活用できることを示した事例ともいえる。また、長年に渡るリチウムイオン電池の経験によって、高い安全性を実現しているのが特徴である。創エネ、蓄エネ、省エネ、活エネという観点から事業を拡大させていきたい」とした。
なお、三洋電機では、2015年にスマートエナジー事業全体で1,000億円の事業規模を目指しており、そのうち欧米で75%、日本で25%の売り上げ構成比を見込んでいる。
3月16日午前9時から行われた「桜新町レンタサイクルポート太陽光発電システム運用開始式」では、世田谷区 森下尚治副区長のほか、世田谷区議会議長の川上和彦氏、桜新町商店会、世田谷区自転車対策協議会の関係者、世田谷区議会議員、地元町会、自治会関係者などが出席。森下副区長は、「レンタサイクルポートの太陽光発電システムは地球温暖化防止対策の一環として、またCO2を排出しない電気自転車の利用促進のために導入したもの。世田谷区ではコミュニティサイクルとして『がやりん』を導入し、通勤/通学のほか、区内めぐりや多摩川沿いのサイクリングなどの観光面でも利用できるようにしている。引き続き親しまれる事業となるように発展させたい」と挨拶。
また三洋電機 家電事業部 副事業部長 雑古昭彦氏は、「三洋電機のSESは、大規模な工場向けのものから家庭用の小規模なものまでのトータルエンジーソリュションを提供し、安全性、信頼性で高い評価を得ている。今回のソーラー駐輪場は一番小さな典型的なシステムとなる。また、eneloop bikeは電気の力で走るだけでなく、走ることで発電し、それを充電して利用できるエネルギー循環型システム。新たな低炭素社会を実現するという点も活用していただきたい」と挨拶し、後部座席に幼児用椅子を付属したeneloop bikeを6台、世田谷区に寄贈した。