STMicroelectronicsは、光学フィンガ・ナビゲーション・モジュール(OFNモジュール)または光学ジョイスティックの制御に必要な機能を搭載した低消費電力センサ「VD5376」を発表した。すでにサンプル出荷および量産出荷が可能で、単価は、10万個以上購入時に約0.40ドルとしており、大手携帯電話メーカーの新たなスマートフォンの設計に採用されているほか、大手PCメーカーの携帯型コンピュータ機器やTV/STBメーカーのリモコンへの搭載に向けた評価が進められているという。

光学ジョイスティック用センサ「VD5376」

光学ジョイスティック/OFNモジュールは、携帯機器を操作するユーザにデスクトップPC用マウスと同様の精度と柔軟性を提供するもの。コンシューマ機器メーカーは、次世代モバイル・アプリケーションにおいて、タッチスクリーンとは異なる小さなユーザ・インタフェースを活用することにより、省スペース化が可能になる。

また、画面に直接触れて制御するタッチセンサのスライダでは、地図上の位置を正確に指定できない場合や、Webページ上のハイパーリンクの選択や再生音量の調整などの操作が困難で精度が高くない場合があるほか、もう1つの代替技術であるタッチパッドはOFNモジュールよりもサイズが大きく、湿度の高い環境やユーザが手袋をしている場合は光学ジョイスティックほどスムーズに機能しないという欠点があった。

その他、トラック・ボールやトラック・ボタンなどの技術もあるが、いずれも小型携帯機器用には不向きで、OFNモジュールを画面上のカーソル制御に使用することで、次世代製品におけるこれらの課題を解決することができると同社では主張している。

同モジュールは、デスクトップPCの光学マウスと同様の光源を内蔵し、機器の外部筐体に搭載。モジュールの表面でユーザが指先を動かすと、VD5376がその移動距離を測定し、その値に応じて画面上のカーソル位置を変化させることが可能となる。

また、指の動きを検知する感度と信頼性を備えたイメージング・アレイおよび光源を駆動するドライバ回路などが含まれているほか、レーザ、赤外線および可視光LEDが使用できるため、モジュールメーカーは用途に応じたモジュール構築が可能となる。