三菱電機は、25Gbpsの光信号を4波多重して高速光伝送システムを実現する100ギガビットイーサネット(100GbE)用の送受信デバイスとして、25Gbpsで動作する高品質な変調波形を持つ直接変調DFB(Distributed Feed-Back)レーザーと光電変換効率0.88A/Wを持つフォトダイオードアレイを開発したことを発表した。
光伝送ネットワークの通信量の増加に対応するため、最高100Gbpsのイーサネット(100GbE)がIEEEで2010年6月に標準化される見込みで、同100GbEの方式の中で、近隣のデータセンター間や建物内で使用する100m~10km程度の伝送には1.3μm帯の4つの25Gbps信号を同時に伝送して100Gbpsの伝送速度を実現する100GBASE-LR4方式が検討されており、送受信のための光半導体素子には25Gbpsで動作する4つの発光素子(レーザー)と4つの受光素子(フォトダイオード)が必要となる。
25Gbpsで動作する半導体レーザーには、変調信号で直接駆動し、外部変調器の不要な直接変調DFBレーザーが低消費電力・低コスト化の点で期待されているが、25Gbpsの速度では変調波形の品質が低下してマスクマージンが小さくなる問題があった。
今回、レーザー光を生成する活性層にAlGaInAsを用いた埋め込み活性層構造を採用するとともに、活性層を短共振器化し、駆動電流密度の増大と高温動作時の活性層内電子の逃散を抑制することで、低消費電力かつ高品質な変調波形を実現した。50℃の高温動作時で、平均動作電流45mA、光出力9dBm、マスクマージン26%以上の変調波形を実現したという。これにより、0.1W以下で100GBASE-LR4に準拠した最大10kmの光伝送が可能になるとする。
また、受光するフォトダイオードでは、高速応答を得るための光吸収層の薄膜化と光電変換効率が相反する関係にあり、25Gbpsの速度では十分な光電変換効率が得られないという問題があった。今回、光吸収層を透過した光を反射して再び光吸収層で光電変換させる新たな高反射ミラーを開発、25Gbpsの高速応答と光電変換効率0.88A/Wの両立を実現した。同フォトダイオード4個を1チップに集積したフォトダイオードアレイは、フォトダイオードを個々に実装した場合に比べ、受光モジュールの体積を3分の1程度の3cc以下に抑えることが可能となっている。
なお、同成果の一部は、総務省の「超高速光伝送システム技術の研究開発」によるもので、詳細については第57回応用物理学関係連合講演会(2010年3月17日~20日)で発表される予定となっている。