Adobe SystemsのOmnitureビジネスユニット担当 シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるジョシュ・ジェームズ(Josh James)氏は、米ソルトレイクシティで開催された「Omniture Summit 10」のオープニングスピーチ「次の10年はCMOの時代になる」と提言して聴衆の関心を引き付けた。Chief Marketing Officer、すなわちマーケティング最高責任者の時代という発言の真意はどこにあるのか? そして、Adobeとの統合後のOmnitureが目指す方向性は? サミットでもキーのひとつとなっていた"ソーシャルメディア"についての見解は? -- 同サミットでの多忙の中、ジェームズ氏が答えてくれた。

AdobeのOmniture BUを指揮するJosh James氏。オンラインマーケティングのスペシャリストでもある

ジェームズ氏は、OmnitureがAdobe Systemsに2009年10月に買収されるまでは、同社のCEO兼共同創業者であった。1996年にOmnitureをパートナーと共同で設立し、2006年には同社の株式を公開すると、NASDAQの上場企業の中で"最年少のCEO"となり、2007 - 2008年の間に5社の企業買収を実施し、世界的にマーケットシェアを伸ばしていった。若手ながら、その経営者としての手腕は、多くが知るところだ。フォーチュン誌の2009年度の「40 Under 40(ビジネス界のトップ、40歳以下の40人)」 にも選ばれている。

現在、同氏は、Adobe下でOmniture Online Marketing Suiteのビジネスを統括する。同製品群は、企業のマーケティング担当者が顧客データを最大限に活用しながら、広告投資とコンバージョンの最適化を可能にする統合スイートだ。

--Adobeとの統合により、今後数年先に向けて、どのような方向性で進んでいくのでしょうか?Omnitureとしてのビジョン、ビジネスへの期待を教えてください。

今回のAdobeとOmnitureの統合は、カスタマーエクスペリエンスを「統一」「一貫化」「簡素化」できる絶好の機会だと捉えています。

企業はオンラインマーケティングを行うにあたって、デジタルアセットを作り広告出稿を行いますが、その後をトラッキングし分析していくことが重要な課題となっています。まさしく、Omnitureが(オンラインマーケティングのワークフローを)Adobeから引き継ぐ「接点」となるところです。

企業にとっては、とくにFlashのトラッキングや動画やアプリケーションの利用状況を把握することが重要となってきていますが、これは大変難しい。そこで「Adobe Dreamweaver」や「Adobe Flash」で制作したコンテンツを、トラッキングできるようにすることが重要だと考え、取り組み始めています。今後2、3年の間に公開される新バージョンでは、自動的にFlashコンテンツがトラッキング可能な製品などが登場してきます。

Omnitureの主力製品をスイートにした「Online Marketing Suite」は今後、Adobeがもっとも力を入れていきたいソリューション

モバイル分野も重要視しています。このエリアでも成功を収めてきたAdobeとの連携は、Omnitureにとって力強いところです。日本では、楽天をはじめとする数百の会社にOmniture製品を使っていただいていており、2番目に大きい市場だと捉えていますが、その日本では、皆さん「モバイル、モバイル、モバイル!」と仰る(笑)。

先日、ドコモやソフトバンクのCEOにお会いしましたが、オンラインやモバイルでの試みにAdobe製品を利用されていて、大変よくAdobeのことをご存じでした。私たちにとって、さらに効果的な"モバイルエクスペリエンス(モバイルを使った施策によって生み出されるエクスペリエンス)"を提供しやすい状況下にあるということです。

企業にとって大切なのは、単に「消費者に利用していただくこと」ではなく、そこから「収益を生み出すこと」です。2社の統合によって、企業がさらなる収益を生み出すためのモバイルビジネスへの支援基盤ができたと考えています。AdobeとOmnitureが一緒になり、動画、Flash、そしてモバイルといったチャネルを最適化して、お客様のマーケティングのワークフローへの包括的な支援が可能になったのです。