宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月11日、地球に向かって航行を続ける小惑星探査機「はやぶさ」が精密な軌道決定をするためにイオンエンジンをいったん停止し、慣性飛行に入ったことを明らかにした。
現在、JAXAの臼田宇宙空間観測所のパラボラアンテナを用いた距離・速度計測(レンジ計測とドップラー効果を用いた計測)に加え、米国航空宇宙局(NASA)のディープスペースネットワークのアンテナ3機を同時に使ったΔDifferential Oneway Range(DDOR)も活用することで、地球帰還に向けた精密な軌道計測が行われている段階。
距離・速度計測法は、視線方向には高い精度で測れるものの、視線と垂直な面での計算は苦手なため、離れて配置された複数のアンテナを用いてこの弱点を克服しているDDORを活用することで精度を高める必要がある。
なお、2010年3月11日9時(日本時間)段階で、はやぶさは地球から距離2,897万2,550km、赤径8h13m48s度、赤緯29.75度におり、太陽との距離が約1.1AUと近づいていることもあるため、太陽に当たっている面が暑くなりすぎないように配慮した運営が行われているという。