シャープは、3月9日から12日まで、東京・有明の東京ビッグサイトで開催している「リテールテック JAPAN 2010」に、60v型液晶ディスプレイを12枚組み合わせたデジタルサイネージ用マルチディスプレイシステムを展示した。

東京ビッグサイトで開催しているリテールテック JAPAN 2010

同社の液晶テレビ「LED AQUOS」に採用しているUV2Aパネルを採用した狭額縁の60v型ディスプレイを縦位置に配置することで、205型相当のディスプレイサイズとし、同社独自開発の管理ソフトウェアであるe-Signage(イーサイネージ)によって制御。画像を分割して表示したり、時間ごとに切り替えて表示するといった管理が可能になる。

「従来の200型相当のディスプレイの場合、5000万円程度の費用が必要だったが、60v型ディスプレイを組み合わせることで、5分の1程度にコストダウンできる。また、60v型ディスプレイを3枚組み合わせた103型相当では、ハード、ソフト、制御用PCを含めて300万円程度の価格となり、108v型ディスプレイの約3分の1の価格で同等サイズのデジタルサイネージの実現が可能になる」(シャープ ビジネスソリューション事業本部ビジネスソリューション営業部・藤波文雄副参事)という。

60v型ディスプレイを12枚使用し、205型相当としたマルチディスプレイシステム

103型相当となるシステム価格300万円の場合では、5年リースでは月額6万円程度となり、「月1万円の広告を6本掲載すれば相殺できる計算。量販店をはじめ、商業施設などに手軽に導入できる大型デジタルサイネージとして提案していく」としている。

今回の製品の最大の魅力はコストダウン効果といえるが、さらに、108v型ディスプレイの場合には、重量が200kg以上もあり設置場所を選ぶこと、物理的にエレベータに搬入できない場合があるなど導入制限があるが、60v型ディスプレイの組み合わせでは、1台あたりが35kgとなり2人で設置作業が行えるなど、設置性にも優れるといったメリットもある。

組み合わせ方で画面サイズを横方向や縦方向に伸ばすことができるため、設置場所にあわせた提案も可能となる。さらに、ベゼル部分の区切りを利用して、それぞれに異なる画像を表示して、効果的な訴求を行うといった使い方もできる。

すでにシャープでは、60v型ディスプレイ12枚を横方向に組み合わせたマルチディスプレイを、成田国際空港、千歳空港、仙台空港、中部国際空港のほか、大阪・梅田の地下街である「ホワイティうめだ」にも設置している。

さらに、ソフトメーカーとの連動によるソリューション提案も行っているのも特徴。東急ハンズ渋谷店が、昨年末のクリスマスや、今年2月のバレンタインデーにあわせて設置したデジタルサイネージでは、シナプスソフトが開発したソフトを活用することで、iPhoneアプリケーションと連動。デジタルサイネージに表示されたクリスマスツリーに向かって、iPhoneを投げる動作をするとメッセージが表示されたり、Twitterによる投稿が、そのまま店頭のデジタルサイネージ上に表示されるといった使い方も行われており、その一部を今回のイベントでも展示した。

iPhoneからデジタルサイネージに向けてメッセージを投稿することができる

また、参考展示された42v型ディスプレイでは、しくみデザインのアプリケーションをデモストレーション。小型カメラで撮影された映像をリアルタイムで表示。その映像に装飾を施して、楽しく広告を見ることができるようにしていた。

参考展示された42v型ディスプレイ。小型カメラで撮影された映像をリアルタイムで表示。映像に装飾を施し楽しく見せる工夫も

同社では、今後、デジタルサイネージの新たな提案として、ソフトメーカーと連動したマルチディスプレイシステムの提案も加速していく考えだ。

一方、同ブースでは、POSターミナルやハンディターミナルの展示も行われていた。

シャープが展示したPOSターミナル

POSターミナルでは、従来機種に比べて設置スペースを約30%削減したRZ-A430などを展示。4月に発売予定のRZ-A460では、Core 2 Duo 2.2GHzを搭載することで、POSターミナルの背面に設置された15型ディスプレイに、販売促進用動画をスムーズに再生することができる様子をデモストレーションしていた。

また、e-Signageを活用することで、POSターミナルごとに個別の情報をディスプレイに表示したり、店内に設置されたデジタルサイネージとの連動告知などができる実演も行っていた。

「コンパクト、高性能がシャープのPOSターミナルの最大の特徴。コンビニエンスストアなどのレジの設置スペースが狭い場所でも、効率的なスペース活用が可能になる。また、e-Signageにより、『パンが焼けました』などの情報もリアルタイムに表示することも大きな特徴といえる」(シャープシステムプロダクト営業推進部システム機器推進チーム・松井良彰チーフ)とした。

従来製品に比べて約30%の省スペース化を実現している

ハンディターミナルは、昨年12月に発売したRZ-H242C、および2月に発売した2次元コードスキャナを搭載したRZ-H243Cを中心に展示。2次元コードは、読み取りエリアで読み取るエリアセンサー方式を採用。読み取り性能の向上とともに、レスポンス性を向上。マグネシウムシャーシを内部に採用したことでコンクリート上でも高さ1.5メートルの落下衝撃にも対応した堅牢性の実現や、IP54準拠の防滴性も実現している。

2次元コードスキナを搭載したRZ-H243C

「10キーは携帯電話の配列と同じにし、携帯電話の操作に慣れた人が使いやすいようにした。また、低消費電力設計により、通常バッテリーで12時間、大容量バッテリーでは20時間の連続使用が可能になっており、放充電は750回まで可能。毎日放充電を繰り返しても2年間利用できる。環境の観点からも配慮した設計になっている」(シャープシステムプロダクト営業推進部システム機器推進チーム主事・寺田博志氏)としている。

デジタルサイネージとPOSターミナルとの連動告知なども可能になる