リコーは3月9日、国内の販売会社7社を合併し、2010年7月1日付けで新会社「リコージャパン」として発足させることを発表した。資本金および社長は現在の調整を進めている段階という。

今回、再編対象となるのは、「リコー北海道」「リコー東北」「リコー販売」「リコー中部」「リコー関西」「リコー中国」「リコー九州」の7社の販売会社ならびにリコー本体の販売事業本部。約1万3,500名、拠点数は約310拠点が対象となる。

リコーの代表取締役社長執行役員である近藤史朗氏

この再編についてリコーの代表取締役社長執行役員である近藤史朗氏は、「激変する市場環境への対応と、顧客への価値提供を拡大するために、国内の販売体制を再構築し、国内1社の販売会社として統合し新会社を発足することにした」とし、顧客の価値基準が従来のハードウェアに搭載して提供する形から、ソリューション/サービスや効率重視へと変化する中で、販売の現場で顧客ニーズに合わせた新しい価値を創出し、提供を強化することが狙いであることを説明。「クラウドやセキュリティ、環境マネジメントといった分野に顧客の価値基準が移ってきている現在、商談については、本社で一括して発注するという機会が増えてくる。そうした状況に対応するための体制を作ることが重要だった」(同)とその背景を語る。

また、この組織再編により、同社の日本、中国、欧州、米州、アジア・パシフィックの5極におけるグローバル展開体制として、各極に1社の販売責任会社が設立されることとなり、ガバナンスの強化につながることを強調する。

カスタマニーズの変化に合わせた価値観の提供を行うために組織の再編を実施

世界5極で各極に1社の販売責任会社を設置

特にリーマンショック以降、市場が縮小し、さらに日本市場の比率が減ってきているが、その中で日本で新たなビジネスの芽が出てきており、「世界的に見れば売り上げも減ってきている地域だが、新しい領域のビジネスが生み出されてきている部分もある」(同)とのことで、5極それぞれのマーケット特性が異なるものの、日本で育てた新しい成長エンジンや、強化されたセールスなどをグローバル展開していくことを目論んでおり、「日本のマーケットを世界で一番進んだマーケットにしたい。工場でいえばマザー工場、市場で言えばマザーの市場にしたいという狙いがある。組織が変われば皆変わるかというとなかなか難しいかもしれないが、我々の事業領域でトップを目指すため、そして新しい領域での成長を目指すというリコーの基本戦略を遂行していくうえで、リコージャパンは大きな役割を担う」(同)との期待を覗かせる。

日本地域の比率は減少傾向にあるもの、新たなビジネスの動きが出てきており、それを踏まえ世界への展開を目指す

リコー常務執行役員で販売事業本部長の畠中健二氏

また、リコー常務執行役員で販売事業本部長の畠中健二氏は、国内を取り巻く環境について、「アウトソーシングの進展、ソリューション化への要求やブロードバンド化、オフィスワークの形態変化などへの対応のためにリコージャパンへと体制を変更」したと付け加え、リコーの顧客としての企業から、その先に存在する全社員に向けた価値を生み続けることにこだわる会社にしたいと新会社の方向性を示す。

売上高は2009年度6,000億円の見込みから2013年度には7,000億円へと拡大を目指す。新会社の企業としての基本的な考え方は「『顧客起点』経営の加速」「"販売のリコー"の強みを維持、さらに強化し拡充」「新たな成長領域へ積極的な経営資源の投下」の3つ。

2013年度売上高7,000億円を目指すための3つの基本的な考え方

これらの考え方のもとに示されるビジネスコンセプトは「Customer's Customer Success」。これはリコーの提供する価値を用いて、顧客(企業)がさらにその先にいる顧客(エンドユーザーや社員)に対して価値を提供してきたという認識の下、リコーそのものも顧客がその先のユーザーに価値を提供する手助けを行おうとすることを目指すもの。これについて畠中氏は「オフィスから働くすべての顧客へと対象範囲を広げるほか、法人から個人へ、いわゆる『B to BからB to B to B&C』へと段階的拡大を図っていく」と表現する。

新会社のビジネスコンセプトと、それにより拡大される価値の提供範囲

新会社では、ハイエンドプリンタビジネスや新分野のビジネスを全国共通の一気通貫型として展開しつつ、従来の7地区の販売体制も維持し、地域の顧客に密着したビジネスも平行して行っていく体制となる。

新会社の体制。一気通貫型のビジネスと各地域別のビジネスを本社機能が取りまとめる形で事業が行われる

こうした体制に加えて、リコージャパン以外の国内関連会社であるリコーITソリューションズ、リコーテクノシステムズ、リコービジネスエキスパートなどとの連携を図っていくことで、より高い価値の提供を目指していくという。

国内のほかの関連会社との連携により、さらなる価値提供の強化を狙う