チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは3月9日、オフィスのデスクトップ環境を仮想的に実現するUSBメモリタイプのクライアントソリューション「Check Point Abra」を発表した。在宅勤務の社員や、社内で作業を行っている契約社員や業務委託者など、企業サイドで管理できないPCからのアクセスによる情報漏洩やウィルス感染を防ぐことが狙い。

Abra("あぶら")は、暗号化機能を備えるSanDisk製のUSBフラッシュメモリに、チェック・ポイントの仮想化機能、VPN、セキュリティ技術を搭載した仮想化ドライブ。ユーザは、手持ちのPC(Windows)にAbraを挿入すると、即座にオフィスで使用しているデスクトップと同じ環境を実現できる。ネットワークに接続されている場合は、企業内ネットワークに透過的にアクセスすることが可能で、オフラインの場合でもUSBの仮想作業環境にあるデータにアクセスできる。

4GBと8GBのタイプが用意されている「Check Point Abra」。プラグ&プレイで手持ちのPCがオフィス環境に変わる。対応クライアントOSはWindows 7/Vista/XP

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ システム・エンジニアリング本部 マネージャ 小高克明氏

Abraの安全性について、チェック・ポイントのシステム・エンジニアリング本部 小高克明氏は「USBドライブ自体が常に暗号化ONの設定になっており、AES256でデータが暗号化される。さらにファイアウォールとアンチスパイウェアがビルトインされており、マルウェアのブロックも万全。また、Abraが提供するのはあくまで仮想デスクトップ環境なので、接続先の企業内ネットワークから、Abraを挿入したPCへデータが流出することはない。ユーザが仮想環境内で使用できるアプリケーションは(企業ネットワークの)管理者がOKしたものだけである」と説明している。管理者はセキュリティポリシーに従って、Abraユーザに対し、使用アプリケーションやインターネットの接続、ファイル転送の可/不可を制御できる。なお管理側のソリューションとして、チェック・ポイントのSecure Platformが必要。

小高氏は「Abraの強みは、どんなPCでもプラグ&プレイで安全な作業PCに変えられること。新規に社員に配布するPCを購入する費用や導入の手間などを考えると、大幅なコスト削減が実現できる。働き方が多様化し、モバイルワーカーや社員以外の人間にデータを預けなくてはいけないケースが増えている現在、機密情報の流出を防ぐ上で有効なソリューション」としている。

価格は4GBで2万2,000円、8GBで3万2,000円、提供は3月末から開始となる。

AbraをPCに挿すと仮想環境画面が起動する。起動前にパスワードを入力するが、その強度も管理者サイドで自由に決めることができる。利用できるアプリケーションは管理者サイドがOKしたもののみ。企業内ネットワークのデータを作業PCのローカルディスクに保存することはできない。その逆で、作業PC内のデータを企業内ネットワークがのぞき見ることはできない