IDC Japanは3月9日、データセンターアウトソーシング市場の国内地域別予測を発表した。同発表によると、2009年の国内市場の約70%は東京都および関東地方6県にあるデータセンターで占められており、2009年~2013年の年平均成長率でも同地域のデータセンターの市場は国内市場全体の成長率を上回るペースで伸びるという。

データセンターアウトソーシングには、サーバ設置場所を貸し出す「コロケーションサービス」と、データセンター事業者が所有するサーバを顧客に提供する「ホスティングサービス」があるが、今回の調査はコロケーション市場が対象。

コロケーションではサーバがユーザー企業の資産となる。今回の調査では、東京都およびその近郊に本社や事業拠点を持つ企業が、自社の社員が緊急時に容易に駆けつけることができるようなデータセンターを選ぶ傾向が強いため、都内およびその近郊地域のデータセンターの需要が高いことがわかったと、同社ではコメントしている。

特に東京都内に拠点が集中しているインターネット企業は、自社に近いデータセンター内に大規模なサーバルームを必要とするところが多く、ブログやインターネットショッピングなどの事業の成長とともに、コロケーション需要も伸びているという。

ただし5年程前までは、ネットワーク環境や電力設備が優れたデータセンターは東京都心部に集中していたが、現在では神奈川県や千葉県などの近郊地域にある設備の優れたデータセンターを比較的安価に利用でき、都心部だけでなく近郊地域のデータセンターに対する需要も高まりつつある、と同社では見ている。

2009年は景気後退の影響によりコロケーション市場の需要が伸び悩んでいる一方、東京都心部にはデータセンターの新設/増設が続いており、その結果、これまで比較的高い水準で推移してきた東京都内のデータセンターの価格(ラック価格)は下落している。今後も東京都周辺のデータセンター需要は、国内の他地域よりは高い水準で推移するが、価格の下落により成長率は緩やかに低下していく、予測されている。

国内コロケーション市場 データセンター所在地別投資額予測 資料:IDC Japan