セキュリティ格言によるオリジナルかるたを使用して行われる、日立システムアンドサービス主催の新春恒例のイベントが今年も2月に開催された。
同イベントは、2005年に開始されて以降、今回で5回目の開催。2月2日の"情報セキュリティの日"にちなんで行われた今年は、第一部では、IT業界の振興と人材育成を目指した取り組みの一環として毎年開催されている恒例の「ソリューションベンダ各社対抗戦かるた大会」を開催。日立システムほか、ソリューションベンダ6社が参加した結果、株式会社PFUが優勝を果たした。
その他、今回は新たな試みとして、第二部としてNPO法人を招いたイベントも開催。同社によると、NPO法人を集めての今回の試みは企業のCSR活動の一環で「ITの専門家が少なく、教育支援や教育機関がない環境にあるNPO法人に対して、システムインテグレーション(SI)会社として何かできないか」というのが主旨。日本NPOセンターの協力を得て、ITの構築に前向きなNPO法人を公募し、その中から選ばれた団体が参加したという。
第二部では、まずはじめにセキュリティ分野をテーマに、幅広い研究/教育/啓蒙活動を展開し、カルタ大会で使用している「セキュリティいろはかるた」の監修も務めた慶応義塾大学大学院政策 メディア研究科教授の武田圭史氏が登壇。同氏による「ちはやぶる! かるたで学ぶミニマムセキュリティ」と題した講話が行われ、参加したNPO法人の担当者を前に、昨今のセキュリティの傾向と対策について解説した。武田氏は、最近のセキュリティ事情を特に表現しているものとして次の4枚のカルタを紹介。
- ウェブのリンクは地雷原
- みんなで共有 みんなで漏えい
- おいらウィルス USBにもひそんでる
- さきほどの鍵は別便 別ルート
「仕組み上、USBメモリから入ってくるウィルスを防止するのは不可能。USBメモリの使いまわしは、いわば他の人の箸でごはんを食べているようなもの」と話し、USBメモリの使用法に特に注意するよう呼びかけた。
また、習慣的に施すべき最低限のセキュリティ対策として7項目を紹介。
- 重要ファイルの定期的なバックアップ
- ウィルス対策ソフトの利用と更新
- ソフトウェアを最新の状態に維持(Windows Updateなど)
- USBメモリは使用しない。使用後はファイルを即削除
- BCCにもアドレスを列挙しない
- 違法ファイルのダウンロードや共有を行わない
- ルータのNAT/ファイアフォール機能を使用
「世の中にセキュリティに関する風説がいろいろ流れているが、正しい知識を身に付けることが重要。そのためにはかるたを購入していただくのが、最適なソリューションになる」と冗談交じりに講話をまとめた。
続いて行われた日立システム ネットワークプロダクト部の真島秀一氏による「ケーススタディで学ぶ 30分でわかるセキュリティ対策」と題したセミナー、および「セキュリティお悩み相談会」を実施。「2008年は723万2,763人分の個人情報が漏洩した。これは愛知県の人口と等しい。漏洩の原因は"誤操作"と"管理ミス"が増加しており、ヒューマンエラーが中心になっている」「2009年のウィルス事情は"Gumblar"と"Downadup"が主流だった」と昨年の情報セキュリティ状況を振り返ったほか、「派遣先ではWindows 98やMEがインストールされたパソコンを使っているところがまだあるが、適切なウィルス対策はしているのか」「使わないことがいちばんの対策」といった、NPO法人のIT事情が垣間見れる質疑応答が相次いだ。
その後は、NPO法人によるかるた大会が開始。参加したのは、
- 日本NPOセンター
- パブリック・リソースセンター
- NPOサポートセンター
- 湘南ふじさわシニアネット
- 市民活動フォーラムみのお
- Grobal Links Initiative
- 「育て上げ」ネット
- 骨質改善協会
- 日本フィランソロピー協会
- シャプラニール
のNPO法人10団体。各団体の参加者が3人1組となった6組の混成チームと日立システム社員による4チームの計10組によるトーナメント方式の対抗戦が行われた。熱戦の結果は、日立システムの営業社員によるチームが優勝を飾り、主催者としての面目を保ったほか、個人賞には湘南ふじさわシニアネットの鉄井光雄さん、日本NPOセンターの安池豊さんがそれぞれ1位、2位に輝き、ニンテンドーDSi、iPod Shuffleの商品を手にした。