米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏は3月2日(現地時間)、米カリフォルニア州サンタクララで開催されたイベントにおいて、インターネット検索分野におけるYahoo!との提携、Googleとの競合、そしていま話題のTwitterとの関係について語った。Ballmer氏はYahoo!やTwitterとの既存の関係を活かしつつ、いつの日か打倒Googleを目標に競争力を強化していく目標を掲げている。

これは米Search Engine Land主催のイベントSearch Marketing Expo (SMX) WestのキーノートでBallmer氏が聴衆らの質問に対して語ったもの。昨年米ワシントン州シアトルで開催されたSMX Westで同社は、リブランディングされたインターネット検索サービス「Bing」を発表している。

PC Worldの同日付け報道によれば、聴衆からの「Microsoftは検索分野でナンバー1企業になるのか?」という質問に対し、Ballmer氏は「それに対するよい解答は思いつかないが、仮に"はい"と言ったら"傲慢不遜"だと思われるだろうし、"いいえ"と言ったら"嘘つき"だと思われるだろう。ここでの答えは"はい"だ。いつの日か(打倒Googleを)実現するだろう」とコメントしている。同氏はナンバー1のポジションであることに意味があり、Googleが享受しているメリットもすべてここに起因すると指摘している。つまりこの分野で生き残りを目指す限り、"打倒Google"は絶対に避けて通れない道というのだ。

こうした打倒Googleの鍵となるであろう、Yahoo!との関係はどうだろうか。「Yahoo!は検索サービス企業として生き残れるのか」という質問に対してBallmer氏は、検索市場トップを目指す上で乗り越えなければならない壁と表現する一方で、最近は提携効果でシェアが増大しており、共に成功の歩んでいく道が一番だと強調している。これについて米San Jose Mercury Newsのインタビュー記事によれば、米Yahoo! CEOのCarol Bartz氏も最新状況に関して「Yahoo!は成長モードに回帰した」というコメントを出しており、提携効果が現れつつあり、一時期の混乱状態からは脱したと説明する。

SMXのキーノートでBallmer氏はほかにも、Twitterの存在について触れている。Wall Street Journalによれば、この人気急上昇中のサービスについて、独立性を維持することが何より重要だとの認識を示し、一部で噂される買収の可能性について否定している。現在Twitterについては同社を含むGoogleなど大手インターネット企業からの買収の可能性が取りざたされているが、Twitter自身は独立性を維持する方向を模索しており、Twitter内のリアルタイム検索データのBingやGoogleサービスへの提供の見返りに資金提供を受けるスタイルにとどまっている。ビジネスモデル構築が難しかったYouTubeなどとは異なり、Twitterにはまださまざまな形でチャンスが存在しており、今後も独立性を維持したいという希望があるとみられる。またTwitter創業者の1人であるEvan Williams氏はGoogleが買収したBloggerに参加しており、吸収合併後にGoogleを飛び出してTwitterの創業に関わっている。強い独立心の背景にはこうした事実もあると考えられる。いずれにせよMicrosoft側の懸念としては「仮にTwitterを買収したとして、今後もユーザーコミュニティとの同じ関係を保つことができるか未知数だ」とBallmer氏が懸念するように、買収がかえってデメリットになる可能性がある。

大手企業によるTwitter買収の噂はこれまで何度も繰り返されてきたが、Twitter自身はその独立性を守ることを第一義としているようだ(写真は米国サンフランシスコにあるTwitter本社が入っているビル)