米Novellは3月2日(現地時間)、ヘッジファンドで投資顧問会社の米Elliott Associatesから1株あたり5.75ドルで総額約20億ドルの買収提案を受け取ったことを発表した。同社ではこれを望まない買収提案であるとして、J.P. Morganら企業を顧問に買収提案の詳細レビューを行う予定であると報告している。

米New York Timesの同日付けの報道によれば、ElliottはすでにNovell株の8.5%を所有しており、実際には18億3,000万ドルの追加資金で買収が可能だという。また現時点でNovellは160億ドル規模の資産を保有しているという。Elliottは業績が低迷する企業再生を専門としており、Novellボードメンバーらに宛てた手紙の中でポートフォリオマネージャのJesse Cohn氏は「過去数年にわたって一連の買収などの戦略転換を図っているものの、それらはことごとく不成功に終わっており、結果として株価低迷を招いている。過去33年のElliottの実績から、Novell株主らにとって最大の効果を届けることが可能だろう」と述べ、買収による再生を強く促している。

Novell株価は2000年の40ドルをピークに減少を続け、現在では平均して5ドルを切る水準まで落ち込んでいる。その間に従来のNetWare依存の体質から抜け出すべく、コンサルティング会社Cambridge Technology Partners (CTP)の吸収、SuSE買収によるLinux事業進出など、次々と新機軸を打ち出すものの、大きな成果を出すには至っていない。またCTP買収後に管理体制ががらりと入れ替わっており、本社も従来の米ユタ州プロボからCTP本社のあった米マサチューセッツ州ウォルサムへと移っている。だが2008年になりCTPはNovellからスピンオフされ、現在に至っている。

なお原稿執筆時点の3月3日正午(米東海岸時間: EST)でのNovell株価は、買収提案による株価上昇を見込んだ買いが大量に入ったことで前日比約27%と大幅アップの6.03ドルとなっている。買収提案額よりは高い水準だが、取引開始から3時間を経てほぼ6ドル前後で安定しており、事態が進展するまでこの水準をやや下回るレベルで推移するものとみられる。