日本アイ・ビー・エムは3月3日、次世代x86サーバのアーキテクチャ「第五世代 Enterprise X-Architecture(eX5)」を発表した。同アーキテクチャは、大容量メモリへの高速アクセスを制御する集積回路と異なる筐体に搭載されたCPUとチップを外部ケーブルで高速接続できる伝送技術により、最大3テラバイトのメモリ搭載を実現する。
eX5は、メモリ拡張ユニット「MAX5」、2台のサーバを接続しハードウェア資源を柔軟に分配するための「FlexNode」」、I/O拡張のための「eXFlash」といった新技術から構成される。最大の特徴は、MAX5によってプロセッサと独立してメモリを拡張することが可能になり、最大3TBのメモリが搭載できる点だ。
システム製品事業 システムx事業部長を務める小林泰子氏は、「現在のサーバの使用率向上を妨げているのは、プロセッサの進化に対してメモリの進化が遅れていること。また、これまではCPUとメモリは対になっていて、バラバラに追加することができなかった。こうした問題を解決するには、新たなサーバアーキテクチャが必要だとして、eX5の開発を行った」と説明した。
MAX5はサーバ本体とほぼ同じ基板面積を持ち、本体を上に置く形で利用する。最大512GBを搭載できる32個のメモリスロットと、その大容量メモリを高速に制御する「eX5チップ」を搭載する。MAX5上のチップセットとサーバ本体のCPUはQPIというインタフェースを介して外部ケーブルで接続されるが、同一基板上のCPUとチップ間の通信速度と同様の最大42.4GB毎秒の速度で接続が可能。MAX5には、Power SystemとSystem zのテクノロジーが活用されている。
小林氏は、「MAX5を用いることで、仮想化環境におけるサーバの統合密度を向上させること、2ソケットサーバによって4ソケットサーバと同じ数の仮想環境を統合することができるので、ハードウェアとライセンスのコストの削減が実現される」と、コスト面でのメリットをアピールした。
FlexNodeは、CPU数とメモリ量の組み合わせを必要に応じて移行すること、ポリシーベースによるサーバの構成を変更することを可能にする。例えば、昼間は分割した2PUのサーバ2台を夜間は1台のサーバとして稼働させることができる。
eXFlashは、2.5型HDD4個分のスペースに8個の独立したホットスワップ対応のSSDを搭載する。これにより、1ケージ当たり24万IOPSと、800本分のHDDと同じパフォーマンスを実現する。ラックマント型サーバであれば、eXFlashを最大3個搭載可能だ。
eX5は、インテルが開発中のCPU「Nehalem-EX」(開発コード名)の搭載が予定されているラック・マウント型サーバ「IBM System x3690 X5」「IBM System x3850 X5」と、ブレード・サーバ「IBM BladeCenter HX5」の3製品に展開され、順次販売していく。したがって、製品の発売時期と価格はまだ発表されていない。