ノルウェーのOpera Softwareは3月2日(現地時間)、デスクトップブラウザ「Opera 10.50」の正式版をリリースしたと発表した。ここでは、主な新機能を簡単に紹介する。
Opera 10.50に関しては、昨年12月22日に「Operaユーザーに向けた少し早めのクリスマスプレゼント」と称して、"pre-α"版(当時のバージョン名はOpera 10.5)が公開。注目の高速JavaScriptエンジン「Carakan」を搭載したバージョンとして話題を呼んだ。
その後、さまざまなWebサイトで同ブラウザが最速を記録したというレポートが発表される中、今年2月11日にβ版が公開される。β版の公開が予定よりも遅れていただけに、正式版のリリースも心配されていたが、β版公開からわずか19日間という異例の早さでのリリースとなった。
今回リリースされたのはWindows版のみ。Mac版、Linux版は現在開発中で、Mac版に関してはすでにβ版が公開されている。Opera 10.50は、日本語を含め、42言語に対応。OperaのWebサイトから無償でダウンロードすることができる。
Opera 10.50の主な特徴は以下のとおり。
高速化に向け各種エンジン/ライブラリ刷新
上記のJavaScriptエンジン「Carakan」のほかに、新グラフィックライブラリ「Vega」、レンダリングエンジンの新版「Presto 2.5」も搭載され、大幅なパフォーマンス向上を実現している。アニメーションの表示に関しては、従来バージョンに比べておよそ8倍の表示速度を達成しているという。
なお、Carakanの開発は2、3年に及び続けられてきた。名称は、インドネシアのジャワ島で使われていた古代文字の名からとられている。
HTML5、CSS3のサポート強化
HTML5のvideoタグやaudioタグがサポートされたほか、CSS3のボックスシャドー、トランスフォームなどにも対応している。標準技術のサポートに力を入れているOperaでは、こうした点も強くアピールしている。
日本法人が開催した説明会では、HTML5やCSS3への対応により、Flash等の独自技術を使わなくても動画が表示できるようになる様子が紹介された。HTMLファイル上に字幕の文字要素を記入し、JavaScriptを使ってそれを動画の上に表示させる模様も披露。字幕をHTMLファイルに記入することで、検索エンジンで字幕要素をひっかけることが可能なうえ、スクリーンリーダーで読み上げることもできる、などのメリットが享受できる。
履歴を残さずブラウジング
複数のユーザーが同じPCアカウントを利用する場合を考慮して、「プライベートタブ」「プライベートウィンドウ」と呼ばれる機能が追加された。
プライベートタブによりブラウジングすると、履歴やクッキーなどの情報が一切記録されない。そのため、「履歴の消去を忘れて過去に閲覧した内容がばれる」といった状況を防ぐことができる。Opera Software International, Web EvangelistのDaniel Davis氏は、この機能の用途として、「例えば、『妻にサプライズでプレゼントを贈りたい』といった場合などに便利」と説明した。
プライベートウィンドウは、すべてのタブがプライベートタブになるウィンドウを表示する機能になる。なお、プライベートタブでは、設定の保存ができないため、コンテンツブロッキングが利用できなくなる。
WidgetがWebブラウザから完全に独立
Opera 10.50では、以前から用意されていたWidget機能が強化され、Webブラウザからの独立を果たしている。
Opera Widgets for Desktopを使用すると、特定サイトを閲覧するための小型デスクトップアプリケーションを簡単に作成することが可能。Opera本体を開かなくてもWebサイトの内容を閲覧することができる。
従来はOpera(Webブラウザ)との結びつきが強く、ブラウザの内部で動作するオブジェクトとして扱われていたが、今回からは完全に独立した。通常のブラウジングでは、サイトロゴやサービス紹介文などの固定要素を毎回読み込むことになるが、Widgetを使用すると、そういった読み込みを省略できるため、パフォーマンス向上などが期待できるという。
作成方法も簡易化されており、閉じるボタンや最小化ボタンなどの要素がデフォルトで表示されるようになっている。
通知メッセージによる作業中断を回避
従来のOperaでは、JavaScriptアラート、HTTP通知、パスワードマネージャー等のメッセージがページ上にオーバーレイ表示される作りになっており、一部のタブでこれらが表示されると、ほかのタブでの作業が継続できなかった。
Opera 10.50ではこの状況が改善され、他のタブでのアラートで中断されなくなっている。
お気に入り、履歴の検索もアドレスバーから
アドレスバーでの検索機能が強化され、Web上の検索だけでなく、お気に入りや履歴に対する検索もできるようになった。
これまで、「過去に閲覧したWebページをもう一度見たいけど、閲覧した日付もURLもサイト名もわからないというときに、手がかりを見つけるのが難しかった」(Davis氏)が、この機能により、自分が記憶するキーワードを覚えていれば探し出せるようになっている。
UIの変更
UI面では、WindowsのAeroに対応させ、ヘッダ部分等を半透明にできるようになったほか、デフォルトのメニューバーを整理し、表示されるメニュー項目を減らす("O"メニューに集約)などの変更が加えられている。
メニューが減ったことにより、縦方向のブラウジングスペースを拡大。一画面でより多くの要素を表示できるようになっている。