三菱電機は3月1日、長野県飯田市の中津川製作所飯田工場内に建設していた太陽電池セル第2工場の建屋が2月18日に完成、これにより飯田工場の太陽電池セル生産能力が従来の年間220Wから2010年度中に同270MWまで引き上げられることを発表した。

同工場では、従来のpoly-Si系ではなく、単結晶Si太陽電池セルの製造設備を新たに導入することで、poly-Si太陽電池セルに加えて、発電効率の高い単結晶Si太陽電池モジュールを都市部の住宅の屋根など向けラインアップとして加える予定となっている。

手前が中津川製作所飯田工場の太陽電池セル第1工場、奥が新設された同第2工場

三菱電機 専務執行役 リビング・デジタルメディア事業本部長の中村一幸氏

単結晶Siとpoly-Siの2系列の太陽光発電システムの販売について、同社専務執行役 リビング・デジタルメディア事業本部長の中村一幸氏は、「2系列の製品ラインアップを用意することで、事業・技術の両面で総合電機メーカーとしての相乗効果を発揮し、システム高出力化ニーズに対応して『創エレ効率とことんNO.1』を目指す」とし、住宅用パワーコンディショナの生産能力を従来の月産4,000台から2010年5月には同6,000台へと引き上げるほか、階調制御インバータ方式の100kWタイプのパワーコンディショナを2010年10月に日本および北米で販売を開始するなど、システムとしての商品力競争力の強化を行っていくことを強調する。

また、販売体制の強化も進めており、「三菱電機の強みを持つ電材住設や空調、FAなどのルートでの取り扱い拡大を図るほか、ほかの事業部との連携による展開を模索する」(同)とし、海外についても「2009年には欧州でイギリス、ドイツ、イタリア、フランス、スペインという5支店体制を構築したほか、北米でも2009年8月、米国ニュージャージー州およびカナダのトロントに新たに販売拠点を設置した」(同)ことで、システムでの販売推進体制が整ったと説明する。

国内のセル、モジュール、パワーコンディショナなどの各種発電システムの生産体制と欧米における販売体制

新たに建設された太陽電池セル第2工場は建築面積が5,710m2、延べ床面積が2万3,970m2(4階建て)となっており、製造設備の導入を進め、2010年度下期の早い段階で量産を開始する計画。単結晶Si系の発電効率は非公表ながら、提供初期段階で16~17%と見られ、「当面の目標として18~20%の効率達成を目指すほか、これまで培ってきた技術を応用することで、さらなる効率向上もできると見ている」(三菱電機 太陽光発電システム事業部長の永澤淳氏)とするほか、セル厚みは180μm程度が予定されており、「将来的には150μm程度で高効率を狙いたい」とする。

太陽電池セル(左からpoly-Siの現行製品セル、poly-Siで発光効率19.3%を達成したセル、単結晶Siセルのサンプル)

左が国内住宅用2本バス太陽電池モジュール(現行商品)、右が同4本バスバー電極採用太陽電池モジュールのサンプル

poly-Siと単結晶Siの発電効率のターゲット

同社では、こうした取り組みに併せて、国内の販売・施工サポート体制の拡充により同社太陽光発電システムの取扱店数を2009年度末8,000店(見込み)から、2010年度には1万店に拡大するほか、施工業者向け研修が受けられるセンターなどを強化することで、受講可能人数を2010年度には前年度末の8,000名(見込み)から倍増となる1万6,000名へと拡大することを計画している。

販売店や施工業者支援を行うことで、国内住宅向け販売体制の強化を狙う

なお、同社では今後もセル生産に向けた投資を継続して行っていくことで、2011年度の早い時期を目標に年産600MW体制を構築することを予定している。