日本経済新聞社は24日、ニュースメディア『日本経済新聞 電子版(Web刊)』の創刊を発表した。日経新聞紙面の記事をすべてWeb上で閲覧できるようになる。サービス開始は3月23日から。料金は、同紙購読者は追加1,000円/月、電子版のみは4,000円/月。

「日本経済新聞 電子版」画面例(日本経済新聞社提供)

携帯電話用画面(日本経済新聞社提供)

日本経済新聞 電子版は、同社が現在運営している「NIKKEI NET」を発展させたもの。日経新聞朝夕刊の全記事、同社編集局による最新ニュース、日経BP社などの専門情報を配信していく。読者は、有料会員、無料登録会員、一般会員(登録不要)に分かれ、会員種別によって購読できるコンテンツに制限が設けられる。有料会員に対しては、特ダネ記事の購読、記事検索(過去5年分/月25件まで閲覧)、朝夕刊最終版の紙面イメージの閲覧、携帯電話からのアクセスといったサービスに加え、パーソナライズ機能「My日経」による記事の自動収集やクリップ機能などが提供される。

有料会員向けに朝夕刊の最終版イメージを提供(日本経済新聞社提供)

会員の登録受付は3月1日、提供開始は3月23日から。電子版のみの購読料は月額4,000円(税込)、同紙購読者は月額1,000円(税込)の追加となっている(全日版:計4,568円、朝夕刊セット版:5,383円)。料金については、新聞部数に影響を与えない範囲で設定したという。同社はあくまでも「紙の新聞は今後ももっとも重要な柱」とし、電子版との共存を模索するとしている。

価値ある情報には「対価をもらう」

喜多恒雄 日本経済新聞社 代表取締役社長。電子版事業について「いまスタートさせないと、10年後の成功はない」

喜多恒雄 代表取締役社長は、新聞業界を取り巻く経済状況に危機感を募らせる。報道の質を維持するためにも経営基盤の強化が重要とし、将来的な成長が見込めない紙媒体に対して「デジタル分野の強化で収益を上げていくことが不可欠」(同氏)と指摘。Web刊はその中核を担うサービスになると説明した。会員種別により記事の閲覧が制限される点については、価値ある情報には「それにふさわしい対価をいただきたい」とした。また、今後の取り組みとして「オープン化」に言及した。他社が電子新聞事業に乗り出す場合、課金システムや購読者管理システムなどを提供する考えもあるとしている。