ネオジャパンは2月18日、「Hyper-V対応グループウェアでITコストの削減」というテーマでセミナーを行った。同社が提供しているパッケージ型グループウェア「desknet's」はマイクロソフトの仮想化プラットフォーム「Hyper-V」上で稼働させることが可能だ。
同社はdesknet'sに加え、SaaS型グループウェア「Applitus」も提供している。Applitusでは仮想化技術が用いられているため、同社は仮想化技術のノウハウと経験を有している。
こうした背景の下、同社はHyper-Vによる仮想化環境下でdesknet'sを導入して、そのパフォーマンスを検証した。その検証結果から、仮想マシン構築の際のポイントがわかったという。以下、同セミナーで紹介されたHyper-Vによる仮想化環境下にdesknet'sを導入する際のポイントとメリットを紹介しよう。
自治体から「Hyper-V+desknet's」に関する問い合わせも
マーケティング統括部プロダクトマーケティング担当部長を務める中沢仁氏は、「2006年にリリースされたApplitusは仮想化技術がベースとなっており、その技術力の高さがウリ。実際、パートナーからもApplitusの仮想化技術に関する問い合わせが多い」と説明した。
一方、2009年度のdesknet's事業も好調で、108%の成長を達成する見込みである。業種別で見ると、2009年度は官公庁の売上が伸びており、官公庁からはHyper-Vとdesknet'sを組み合わせた運用に関する問い合わせが増えているそうだ。
同氏は、「仮想化のメリットは利用者と販売者の双方にある」と話した。「利用者の仮想化のメリットは"ハードウェア機器によるコスト削減"、"ハードウェアの有効活用"、"ハードウェアとソフトウェアの分離"であり、販売者のメリットは"コスト削減の効果を訴求しやすいこと"と"SIと高性能なサーバの双方を販売できること"だ」
仮想化環境利用のカギは仮想マシンの適切なサイジング
同社はこうした仮想化のメリットをdesknet'sの導入にもたらすべく、検証を行った。この検証作業を行ったマーケティング統括部 プロダクトマーケティング担当 山田志貴氏は「仮想化において最も問題視されるのは"パフォーマンス"。パフォーマンスの問題が発生するのを回避するには、仮想マシンに適切なリソースを割り当てる必要がある」と説明した。
desknet'sのリソースを消費する特性から考えると、仮想マシンを設計する際は「Web/アプリケーションを展開する仮想マシン」、「データベースを展開する仮想マシン」、「データフォルダを展開する仮想マシン」の3つに分けて行う必要がある。
Web/アプリケーションを展開する仮想マシン
Web/アプリケーションを展開する仮想マシンでは、可能な限り多くのプロセッサリソースを割り当てる必要がある。というのも、仮想マシンに割り当てる論理プロセッサの数がアクセス負荷に対する平行処理能力を意味するからだ。
また、desknet'sはアプリケーションをインストールしたサーバのハードウェア情報をベースとしたライセンスを行っているため、仮想マシンのMACアドレスは静的に割り当てる。メモリは物理環境と同程度(1GBから2GB程度)の割り当てが推奨される。
desknet'sは複数の仮想マシンに展開できる。これにより、1台の物理サーバでシステムを冗長化することが可能になるため、システムのメンテナンス性や可用性が向上する。「例えば、複数の仮想マシンにdesknet'sを展開しておけば、Microsoft Updateを実行する際にサービスを止める必要がなくなる」
データベースを展開する仮想マシン
データベースの性能は、アプリケーション全体の応答性能に直結する。desknet'sで用いるSQL Serverを仮想マシン上に展開する場合はマイクロソフトのシステム構成ガイドを参考に設計を行ってほしいという。
「構成ガイドから要点をピックアップすると、"ワークロードに応じた論理プロセッサを割り当てる"、"仮想ストレージには容量固定またはパススルーディスクを使用する"、"プロセッサやディスクI/Oのオーバーヘッドはほとんどのケースで数%にとどまる"といったところだ」
データフォルダを展開する仮想マシン
desknet'sからデータフォルダに対しては、高いファイルI/O性能を確保する必要がある。データフォルダを仮想マシン上に配置する場合は、仮想ストレージに特に高いディスクI/O性能を確保し、管理OS用に1つ以上の論理プロセッサを残す。
「高いファイルI/O性能を確保するためのポイントは、OS用とは別にデータフォルダ用の仮想ストレージ(容量固定またはパススルーディスク)を構成することだ」
仮想環境を用いたdesknet'sのシステム構成例としては、「スタンドアロン」、「Webとデータベースの分離」、「Webアプリケーションの冗長化」、「仮想マシンとハードウェアの冗長化」がある。これらのうち、お勧めなのは「Webアプリケーションの冗長化」だという。
「物理サーバを複数用意しなくてもアプリケーションを冗長化することができるため、コスト削減が可能だ。また、仮想マシンのメンテナンス性と可用性も上がる」と同氏。
そのほか実行中の仮想マシンを止めることなく別の物理サーバに移動させる技術「ライブマイグレーション」を利用することで、可用性をさらに向上させることもできる。
昨今、景気低迷から、企業ではコスト削減が最優先課題となっている。このHyper-Vによる仮想化環境に対するdesknet'sの導入も、コスト削減対策の1つと言える。仮想化の導入を検討している企業は、グループウェアについても対象の幅を広げる価値はあるだろう。