ロームは、バッテリ駆動の携帯機器など向けに提供しているMOSFET「ECOMOS」シリーズのラインナップを拡充、0.9V駆動が可能な製品を追加したことを発表した。すでにサンプル出荷を開始しており、サンプル価格は10円で、2010年2月下旬からの量産開始を予定している。
すでにLSIなどでは出力電圧が1V以下のものも登場しているが、LSIの外付けスイッチ用途などで用いられるMOSFETでは、従来品では1.2V程度の駆動電圧が限界となっていた。このため、1.2V以下の駆動ラインでオン・オフスイッチを行うためには、昇圧回路を用いて、1.2V以上に昇圧させるか、もしくはドライブ時の損失が大きく回路設計が複雑になるバイポーラトランジスタを用いる必要があり、回路構成の複雑化や効率の悪化が問題となっていた。
しかし、MOSFETの低駆動電圧化には、しきい値電圧を下げると高温時に電流リークが増大し、ノーマリオフを維持することが難しいという課題があった。今回、同社ではMOSFETのゲート酸化膜およびチャネルプロファイルを最適化することで、電流のリークを抑えることに成功、ノーマリオフを維持しながら0.9V駆動を実現した。これにより、昇圧回路を用いることなく、乾電池(1.2V/終始電圧0.9V)1本でもシステム駆動が可能となるほか、バイポーラトランジスタ比では、駆動電流が不要となるため、電力損失を最大90%削減することが可能になるという。