米Googleが「Gears」を終了させる計画を、Gears APIの公式ブログで説明した。
Gearsは、Webアプリケーションをオフラインでも利用可能にするWebブラウザの拡張機能だ。2007年5月に発表され、2008年3月にはモバイル版も登場した。オフライン機能はインターネットへの接続と切断を繰り返すモバイルデバイスで、Googleのサービスの使い勝手を向上させるために欠かせない技術である。だが昨年12月に、GoogleがGearsプロジェクトをHTML5へとシフトさせるとLA Timesが報じ、その頃からGearsのアップデートが停滞した状態が続いている。
「Hello HTML5」と題されたGears APIブログへの書き込みで、GearsチームのIan Fette氏は「われわれはGearsのすべての機能を、HTML5のようなWeb標準に移行する作業にシフトしている」と、Gearsプロジェクトの現状を説明する。今年1月にリリースしたChrome 4では、Gears database APIおよびworkersに相当するDatabase APIをネイティブサポートし、さらにLocalStorageやWeb Socketsなどに対応した。GearsのLocalServer APIやGeolocationなどについても、同様の機能を提供するAPIがまもなくChromeに含まれる見通しだという。こうしたオフライン機能やデータベース機能のサポートがChrome以外のブラウザでも実現し、Webアプリケーション側でも同様の対応が進めば、ユーザーは最新のWebブラウザへとアップグレードするだけでGearsと同様の機能を利用できるようになる。「Gearsはその目標への最初の一歩であり、残りの道のりがブラウザに引き継がれていくのをわれわれは楽しみしている」とFette氏。
今後については、Gearsの機能をWeb標準ベースで実現する包括的なソリューションの提供に至るまでしばらく時間がかかるため、移行の目途がつくまではGearsのサポートを継続する。Firefox 3.6用のGearsもまもなく登場するという。ただしMac OS X Snow LeopardとSafari 4の組み合わせのような、大幅なアーキテクチャ変更への対応に大きなリソースを割く必要がある場合はサポートの対象ではないという。