マイクロソフトは2月18日、SQL Server 2008 R2に関する最新情報アップデートの記者発表会を開催、具体的な発売日や価格、発売に向けたキャンペーンなどとともに、新機能である「セルフサービスBI」についての詳細情報が発表された。
これまで2010年上半期とだけ発表されていた発売日だが「SQL Server 2008 R2 Datacenter」以下のボリュームライセンス版は5月1日に発売日が決定した。また、パッケージ版は6月の発売予定となっている。「SQL Server 2008 R2 Parallel Data Warehouse」に関しては現時点で発売日は未定。
価格はオープンだが、国内参考価格として以下表が提示された。基本的に「SQL Server 2008の各エディション価格と変化はない。プロセッサライセンスには微調整を行った。CALにも変化はない」とマイクロソフト サーバプラットフォームビジネス本部エグゼクティブ プロダクト マネージャーの斎藤泰行氏は語る。
物理ソケット単位での課金方式は継承される。斎藤氏は「マルチコア時代に物理ソケットで課金しているSQL Server 2008 R2の強み」として、ライバル製品であるOracle Database 11g Enterprise Editionを引き合いに出して、コストメリットを強調。Oracle Databaseで採用されるコア係数(物理コア数×0.5)を使ってのコア単価は、マルチコアかが進む中で低価格になり続けていること、年内リリースが予定されている12コアのプロセッサを採用したサーバでの利用を想定するとSQL Server 2008 R2が511万円であるのに対して、Oracle Database 11gは3,097万8,000円かかることなどを紹介した。
また、基本機能がすべて統合されていることでオプションの追加が不要であることもアピール。「オプション価格はベース価格に対してかかるため、ベース価格が高いとさらに高額に。同じく保守費用も大きな差となる。仮に初期導入費用を100%ディスカウントされても保守費用だけで大きな差に。マルチコア時代に物理ソケット単位での課金システムは非常に大きなコストメリットになる」と斎藤氏は語った。
SQL Server 2008 R2では、すでに数多くのユーザーが存在するSQL Server 2008をベースに開発したことで堅牢性を保っていることや、クラウド時代に適合できる技術などを特徴としている。特にマイクロソフトのクラウドであるSQL Azureとのシームレスな接続ができることは注目される。また、ハードウェア進化に追従できるよう、拡張性も確保されている。そうした特徴の中で、今回特に詳しく紹介されたんのが「セルフサービスBI」だ。
従来のSQL Server 2008で提供されてきたBI機能は、IT部門が全社的に利用される多次元キューブをサーバ上で管理していた。その中のどれを比較するか、どういう見方をするかという部分はユーザーの自由度があったものの、独自のデータを付け加えたり、データを加工することはできない。「独自データを取り込むためにはIT管理者に申請し、交渉し、時間をかけなければならなかった。その状態を改善し、ユーザー自身が手元ですきなデータを使って、自分PCの中にデータベースを作ってしまおうというのがセルフサービスBI」だとマイクロソフト サーバプラットフォーム ビジネス本部 プロダクト マネージャーの松澤純氏は語る。
実際の利用では、従来と同じくExcelをインタフェースとして利用する。アドオンで提供される「PowerPivot for Excel 2010」を利用すると、Excel経由でデータベース内のデータをクライアントPCのメモリ上に読み込み、デスクトップで作業ができるようになるのだ。取り込んだデータは関数などを利用して加工したり、別データと併せて分析することができるようになる。「データベース上では、商品単価と販売個数が記録されていても、重複するデータであるため売上金額は格納されていない。しかし分析上で必要だと考えるなら、売上金額を関数で算出し、直接売上金額を確認しながら分析することもできる。全社データにはない支店単位や地域ごとの売上記録のデータをデスクトップのファイルから取り込み、分析に利用することも可能」と松澤氏。データソースにできるのは、リレーショナルデータベースや多次元データベース上のデータに限らず、デスクトップのエクセルファイルやテキストファイルなども扱える。またブラウザで表示した表形式データなどもコピー&ペーストで簡単に取り込めるため、統計データなどを分析に加えることもできる。
また、作成したデータはアドオンであるSQL Server PowerPivot for SharePointを適用したSharePointを利用して共有可能。さらにSQL Server Reporting Servicesを利用すると、地図データを利用したり、データバーやインジケーター、スパークラインを活用したグラフィカルでリッチなレポートが簡単に作成可能になる。データの活用状況もSharePointで確認できるため、IT部門も効率化できる。「すでにBIを導入しているが、不自由さやコストの問題を感じている企業がファーストターゲット。標準機能でこれだけ便利な機能を提供することで、企業の問題を解決する。もう1つのターゲットは今までコストの問題でBIを利用していなかった企業。安価で高機能なBIを導入してほしい」と斎藤氏は語った。
なお、発表に伴って2月18日から「今が買い時!キャンペーン」と銘打った購入促進キャンペーンが実施されている。実施期間は4月30日までと、SQL Server 2008 R2ボリュームライセンス版発売前日まで。現行のSQL Server 2008のライセンスに無償アップグレード権をつけた上で、キャッシュバックおよびライセンス価格のディスカウントが行われる。「SQL Server 2008 Enterprise 1 Processor Licenseの場合、57万円のキャッシュバックに加えて、ライセンス価格も15%ディスカウント。合計で100万円程度お得になる。発売を待たず、今すぐ使ってみてほしい」と斎藤氏は語った。