Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2月18日、都内で会見を開き、同社の提供する各種マイコン製品に関する説明と、日本地域向け戦略の説明を行った。

同社の組み込み分野向けポートフォリオは大きく分けて、独自コアによる16ビットマイコン「MSP430」シリーズ、同じく独自コアによる「C2000」シリーズや「Piccolo」といった32ビットマイコンのほか、ARM Cortex-M3を用いた32ビットマイコン「Stellaris」、同じくARMのCortex-A8を用いたMPU「Sitara」、ARMコアとDSPを組み合わせたマルチコアDSP「C6000」シリーズや「DaVinci」、「OMAP」、そしてローパワーDSP「C5000」と大別して6分野にわけることができる。

TIの組み込み向けポートフォリオ(左から3つ目の領域までがマイコン製品群)

TI,Vice President マイクロコントローラ担当のBrian Crutcher氏

6分野のうち、3分野がマイコンの製品でカバーしているわけだが、「MSP430はCortex-M0と比べてもより低い電力で駆動できるため、低消費電力性が要求される分野などに適しており、一方のC2000シリーズはリアルタイム制御システムの分野で培われたノウハウがあり、そういった分野への適用が進んでいる。そして、ARMコアのStellarisは2009年5月に買収した米Luminary Microのブランドだったものであり、同年10月にはさらに29品種を追加、これにより多様な市場ニーズへの対応が可能となった」(Texas Instruments Vice President マイクロコントローラ担当のBrian Crutcher氏)と、それぞれのマイコンの特長を説明する。

2010年に同社の16ビットおよび32ビットマイコンの品種は総数で500種を超す予定で、価格も0.5ドル~15ドルのものまで幅広く提供される予定だという。

日本TI 営業・技術本部 マーケティング/応用技術統括部 組込みプロセッサ マーケティング マネージャの仲透義氏

そのような同社において、特に日本市場においては、「Cortex-M3にTIでは注目しており、日本地域にもプロモーションを仕掛けていく。特に、CANやイーサネットなどのインタフェースを内蔵したマイコンであることから、産業機器などに適しており、国内でもそうした顧客を重視したビジネス展開を図っていく」(日本TI 営業・技術本部 マーケティング/応用技術統括部 組込みプロセッサ マーケティング マネージャの仲透義氏)とした。

また、そうした製品の拡充に加え、カスタマサポートの充実策として2009年の後半よりサポートセンターを日本全国に開設、2010年2月の時点で10拠点となっており、「今後も拠点の拡充を図っていく。それは拠点数だけではなく、拠点に駐在する自社のアプリケーション・エンジニア(AE)の数も大幅に増強していく計画」(同)とする。このAEの増強については、具体的な数値は明らかにしなかったが、「現状でも、日本における外資系半導体ベンダのAE数としては他社に負けていないつもり。それを自社もしくは販売代理店などの底上げも含めてさらに強化していくのが狙い」(同)とよりカスタマに対する細かな対応を実現するための技術力強化を達成することが目的と説明する。

現在、日本全国に10カ所の拠点を設置、地域のカスタマに向けたより深いサポートを目指している

さらに、AEの増強のみならず、各営業所や特約店に同社のマイコン推進担当を選任、配置することで、営業面もカバー。「強みを持っているアナログやパワー半導体、マイコンとシステムを構築するために1つ1つ個別に提供するのではなく、それらを組み合わせたトータルソリューションとして提供することでTIとしての強みを出していきたい」(同)と、デバイス単体の強みではなく、総合力で勝負していくことを強調した。

左から「Stellaris」の評価キット、デベロッパーキット、リファレンスキットとなっている。キットのパッケージや基板、チップのシルクはLuminaryのものとなっているが、赤い箱だけTIのロゴに変更が施されている。その他のもの(シルクなどを含む)順次、体制が整ったものからTIのイメージカラーである赤を基調とした箱などへと変更が行われ、2010年中にはすべての製品がTIロゴのものへと差し替えられる予定とのこと