SAS Institute Japanは2月17日、2010年度のビジネス戦略に関する説明会を開催した。説明会には、SAS Instituteの上席副社長兼最高技術責任者を務めるキース・コリンズ氏とSAS Institute Japanの代表取締役を務める吉田仁志氏が出席した。
周知のとおり、世界中でデータは増え続けているが、この問題に対しさまざまなITベンダーが解決策を提示している。コリンズ氏は同社の見解として、「データの爆発的な増加により、"高性能なハイパフォーマンス・コンピューティング"、"ビジネスプロセスの自動化"、"データマネジメント"、"ビジネスの可視化"、"SaaSを活用したソーシャルメディアテキストマイニング"が必要となってきている」と述べた。
同社では投資の25%程度を研究開発に投資しているが、今後は上記の5つのITに対して投資を増やしていくという。
吉田氏からは、SAS Institute Japanの2010年の取り組みについて説明が行われた。同社の2010年の戦略は「情報分析基盤の高度化・統合化の推進」、「顧客分析分野、リスク管理分野のソリューション強化」、「パートナーとの戦略的な協業開拓」の3つの柱から構成される。
同氏は情報分析基盤を考える際、「目的に沿った情報収集の基盤を整備すること、定型化されていないデータの扱いに関する戦略が重要となる」と説明した。「今年以降は情報共有基盤のSaaS化も視野に入れている。これはコスト削減や運用管理の負荷軽減など、ユーザーにとってメリットがあるだけでなく、ベンダーにとってもマネジメントしやすくなるというメリットがある」
同社では一部の顧客を対象にSaaSによるサービスが提供されており、近いうちに正式な発表を行う予定だという。
同社は昨年、不正利用対策フレームワーク「SAS Fraud Framework」やマネーロンダリング対策ソリューション「SAS Anti-Money Laundering 」など、リスク管理ソリューションを発表した。SAS Fraud Frameworkの技術から出てきたのが、顧客分析ソリューション「Social Network Analysis」であり、これをさらに進化させたのが「Social Media Analysis」となる。
Social Media Analysisとは、データマイニングや言語学を用いて、顧客につながる関係と付随する非構造化データを結び付けて分析することで、顧客の動向を予見するテクノロジーだ。4月1日にこのテクノロジーによる製品が発表される予定だ。
同社は協業を行うパートナーについて、グローバルなパートナーとローカルなパートナーの2種類に分類している。同日、グローバルパートナーであるアクセンチュア、ローカルパートナーである日立システムアンドサービスとの戦略提携が同時に発表された。
アクセンチュアとは、予測分析ソリューションの開発・実装・管理において協業を行う。2社は「アクセンチュア・SAS・アナリティクスグループ」を結成して共同で投資を行い、金融業・ヘルスケア・公共サービス向けを皮切りに、業種特化型の予測分析ソリューションの開発、顧客管理/エンタープライズ管理の分野で業務別ソリューションの開発に取り組む。そのほか、マネージド型サービスとして高度な分析機能の提供にも着手する計画だ。
日立システムとは、製造業向けサプライチェーン・マネジメント分野で協業する。日立システムが提供するSCMやデマンドチェーン・マネジメントに関連するソリューションと、SASの重要予測ソリューション「SAS Demand-Driven Forecasting」を連携させ、3月1日から共同で販売を開始する。