NECおよびNECエレクトロニクスは、USB 3.0などで実現する5Gbpsのチップ間通信インタフェースの速度を、既存の通信方式で従来比約3倍の16Gbpsに高速化することが可能となる通信インタフェースの基本回路技術を開発、その基本動作を実証したことを明らかにした。同成果は、2月7日から11日まで、米国サンフランシスコで開催された半導体回路技術の国際会議「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)2010」において発表されたもの。

従来、10Gbpsを超す高速通信の実現のためには、データ波形の歪みに対応するため、多値伝送などの複雑な通信方式の活用が検討されてきた。しかし、そういった複雑な通信方式は、現行の通信技術との互換性がないため、実用化が難しいのが実情とされていた。

従来のフィードバック型データ波形歪み補正は、直前に受信したデジタルデータを受信中のデータ波形に戻すこと(フィードバック)でデータ波形歪みの補正を行っていたほか、データ通信速度が高速化すると、直前に受信したデジタルデータを受信中のデータ波形に戻すために使用可能な時間(フィードバック許容時間)が短くなり、このフィードバック型データ波形歪み補正の実現を困難にしていた。

今回開発された技術は、入力信号であるデータ波形を1ビット期間遅延させてそれを今のデータ波形に反映(フィードフォワード)する動作を、従来のフィードバック型データ波形歪み補正に融合することで、2値伝送方式のまま先のフィードバック許容時間を2倍以上長くすることを可能とした。

これにより、1または0のデジタルデータを正しく高速に受信し、従来の約3倍となる16Gbpsの通信速度を実現することが可能となったほか、次世代通信速度と現行通信速度を1つのインタフェースチップで対応することが可能となることから、低面積・低消費電力・低コストを実現できるチップ間通信インタフェースを構築できるようになるという。

なお、NECおよびNECエレクトロニクスは、同技術が次世代の高速通信につながる基本技術と捉えており、早期の商品化を目指し、今後も研究開発を進めていくとしている。