3wareブランドの6Gbps対応RAIDカードを発表

LSIは、チャネル向け製品として、6Gbps SASテクノロジーに対応した3wareブランドのRAIDコントローラカード「3ware 9750シリーズ」2製品およびMegaRAIDコントローラカード4製品、HBA(Host Bus Adapter)2製品、合計8製品を発表。2月15日から出荷を開始したことを明らかにした。

3ware SAS 9750-4i

3ware SAS 9750-8i

LSI ワールドワイド・チャネル・マーケティング シニア・マネージャーであるSuresh Panikar氏

3ware 9750シリーズは、SATA+SAS RAIDコントローラカードで、ビデオストリーミングやマルチストリーミングに向けた製品。「メインターゲットとしては、ビデオストリーミング、データセンター、HPC、クラウドコンピューティング、医療機器、SATAやSASを用いた汎用サーバなどを想定している」(LSI ワールドワイド・チャネル・マーケティング シニア・マネージャーであるSuresh Panikar氏)と同社ではその活用シーンを説明する。

6Gbps対応製品を3wareブランドで提供することについて同氏は、下位互換性(3Gbps)を確保することで、既存のアプリケーションへの投資資産の保護および、パフォーマンスの改善を図ることができるようになることを強調する。特に3ware製品でこれまで使用されてきたソフトウェア「StorSave」「StreamFusion+」のバージョンアップなども今後も行っていく方針で、「シーケンシャルの高速化によるストリーミングのパフォーマンス向上ができるStreamFusion+などを3wareブランドとして引き続き提供することで、汎用向けのMegaRAIDとは一線を画すブランドとすることができ、そうした意味でも3wareブランドを今後も残していくことをコミットする」と、3wareブランドを維持していくことを強調する。

同社はこれまで自社ブランドであるMegaRAIDで6Gbps対応をうたっていたが、今後は3wareブランドの製品でも6Gbpsに対応することとなる。こうした戦略について、「パフォーマンスとしてRAIDコントローラの活用でRAID 5のシーケンシャルリードで300%増、データベーストランザクションでIOメータOLTPが50%増、RAID 5のシーケンシャルライトが190%増という性能向上が見込める」(同)と説明するほか、ROIとして、既存の3wareブランドのカスタマが6Gbpsへの移行を検討したときに、即座に移行できるようになっていることが3wareブランドを残した1つの意味であるとした。

6Gbpsに対応した3wareブランドのRAIDカードの概要と特長

SIロジック 3Ware プロダクツ セールス&マーケティング コンサルタントの橋本博文氏

今回3wareブランドとして提供される2製品は内部4ポート製品「3ware 9750-4i」と内部8ポート製品「3ware 9750-8i」で、「3GbpsのHDDをRAID 5で構成した状態でのシステムパフォーマンスはリードが2.5Gbps、ライトが1.5Gbpsを実現している」(LSIロジック 3Ware プロダクツ セールス&マーケティング コンサルタントの橋本博文氏)とする。搭載チップは自社の「LSISAS2108 6Gbps ROC(RAID on Chip)」(動作周波数800MHz)で、キャッシュとしてDDR2(800MHz)512MBを搭載、8レーンのPCI Express 2.0で対応RAIDはレベル0/1/5/6/10/50となっている。

対応OSはWindows 2003サーバのほか、Linuxのカーネルも2.6以降に対応。Mac OSも後日対応する予定だ。

スライドではLinux kernels 2.4&2.6となっているが、これは間違いでkernelは2.6に対応する(古いカーネルについては、要望があれば対応をしていくとのこと)

エントリーレベルのMegaRAIDが登場

同社は2009年にも6Gbps対応製品としてMegaRAID5製品、HBA3製品を提供しており、今回も双方合わせて6製品を発表。3ware製品2製品を合わせると2桁を軽く超えるラインナップとなる。こうしたラインナップの拡充に対し同社では「アプリケーション・ドリブンで、それぞれの用途に応じた最適なボードを提供するため」(橋本氏)と説明する。

新たに発表されたMegaRAIDおよびHBA6製品は、MegaRAIDがエントリーモデルの製品、HBAが従来品と比べ多ポート品となっている。「我々は、製品開発の歩みを止めるつもりはない。今回の製品もそういったカスタマの声に対応するために開発されたものだが、カスタマの声に応じて新製品を今後も開発していく予定だ」(Panikar氏)。

新たに提供が開始されたMegaRAID製品とHBAの概要

新たに提供が開始されたHBA2製品は「ハードウェア(ディスクコントローラ)でRAID 0/1に対応しており、それを低価格で扱うことができるのが特長」(同)であり、「ネットワークの拡大で、バックグランドでストレージ容量を拡充していく必要がより高まってきており、1枚で最大512台まで接続できることから、特に容量増大の要求が高まっているホスティングサービスメーカーで、最初に製品が導入されていくのではないか」(同)と市場の動きを予測する。

新たに提供が開始されたHBAの1つ「LSI SAS 9200-16e」の特長(スライドには最大1024台と書いてあるが、512台の間違いとのこと)

LSI SAS 9200-16e

LSI SAS 9212-4i4e

一方のMegaRAIDシリーズ4製品は、コントローラは外部ポート対応の「MegaRAID Featureシリーズ」が3ware製品と同様LSISAS2018を搭載。RAIDとしてレベル0/1/5/6/1/50/60に対応する。一方の内部ポートのみの「MegaRAID Valueシリーズ」には「LSISAS2008 6Gb/s ROC」(動作周波数800MHz)を搭載。こちらはRAIDとしてレベル0/1/5/10/50に対応し、最大64台のSAS/SATAのHDDおよびSSDに対応している。

内部4ポート品「MegaRAID SAS 9240-4i」

内部8ポート品「MegaRAID SAS 9240-8i」

また、一部の製品には自己暗号化ドライブ(SED)向けのInstant Secure Erase機能などを含むサービス「LSI SafeStore Enctyption Services」を搭載。これにより、不正なアクセスや盗難、紛失などからドライブ内データを保護することが可能となり、暗号化による消去により、ドライブ容量に関係なく、既存の暗号化鍵を削除し、1秒未満で新しいデータ暗号化鍵を再生成して、ドライブを不正なアクセスから防ぐことが可能となる。

内部8ポートで「LSI SafeStore Enctyption Services」を搭載した「MegaRAID SAS 9261-8i」

内部4ポート/外部4ポートで「LSI SafeStore Enctyption Services」を搭載した「MegaRAID SAS 9280-4i4e」

MegaRAID SAS 9280-4i4e(Feature製品ライン)の特長

MegaRAID SAS 9240-8iおよび4i(Entry製品ライン)の特長

さらに、「SSDのパフォーマンスを前提とした内部処理がRAIDでできないと、その部分が性能のボトルネックになることがある」(橋本氏)ということで、回路設計としてそうした問題を解決できる技術を採用。発表に際して行われていたデモでは、IntelのSSD「X25-E」4台を外部4ポート/内部4ポートの「MegaRAID SAS9280-4i4e」と接続させ各種ベンチマークを実演していた。

「MegaRAID SAS 9260-8i」の実際の製品

デモには「MegaRAID SAS 9280-4i4e」を使用。

3GbpsのSSD(Intel X25-E)4台によるRAID構成におけるCrystalDiskMark 2.2.0によるベンチマークスコア(左)とIOMeterによるベンチマークスコア(右)

「我々が強調したいのは、日本市場、特にチャネル市場に注力しているという点だ。今後は日本の地域性に対応したリセラー・パートナー・プログラムを構築して、システムベンダやリセラーとの関係を強化していき、より強固なポジションを確保していくつもりだ」(Panikar氏)と、日本における商習慣などにも柔軟に対応する姿勢を見せており、それぞれの分野に応じた製品の提供を各種カスタマに向けて行っていくとした。