ライフネット生命保険・出口治明社長インタビュー 第1弾 はこちら

【インタビュー】リアルの交流にもつながっていく - ライフネット生命・出口社長のTwitter観

Twitter社長は親しみやすいけど、生命保険はちょっと……

ライフネット生命の加入者か否かを問わず、多くの人とTwitterを活用した積極的なコミュニケーションを行っている出口治明社長。マイコミジャーナルの読者の中でも、その姿勢に親近感を覚える方は多いだろう。しかし、生命保険そのものに親しみを感じたり、その内容をよく理解しているという人は、少ないのではないだろうか。

自分にどんな保険が必要なのか、それに対する保険料はいくらが適切なのか。少なくとも教育でそれを学ぶ場はなく、普段の生活で考える機会もほとんどない。さらに、今の若い世代は昔に比べて保険に加入する機会が少なくなっているというのだ。今回はライフネット生命保険・出口社長インタビュー第2弾として、生命保険の今昔、そしてこれからの30代が考えるべき保険について話を伺った。

出口治明 ライフネット生命保険代表取締役社長。マイコミジャーナル読者層の多くを占める30代の生命保険観や、これから加入を検討する30代に向けた生命保険に対する考え方などを伺った

そもそも保険は何のため? 自分にはいくら必要?


──かつての30代と今の30代で、生命保険に対する考え方は変わっていますか

出口 生命保険に対しては分かりませんが、一番変わっているのは社会に対する考え方でしょう。私が30代だった70年代はまだ高度成長期で、これから毎年給料が上がっていくと無邪気に信じられた時代です。しかし、この10年は平均給与が年々下がり、上がることが信じられなくなっています。増税もいつ行なわれるか知れないという状況です。そうしたことから、保険に対しても「安くして欲しい、ムダを省いて欲しい」ということが求められるようになってきていると思います。

──ライフネット生命はそれに応えられているとお考えですか

出口 ええ。だから伸び続けているんだと思います。

──今の30代くらいの人たちは、生保に入らないという傾向はありますか

出口 昔は大手企業に生命保険のセールスレディの机があったんですよ。保険会社は大株主ということで企業の入館証をもらえたので、会社の総務部や庶務部に机を置くんです。そこの社員たちとはとても仲良くなっていますから、新入社員や転勤者の名簿をもらっては、申込書を作ってその人の所へ行き「入りましょう」と営業します。新入社員がよく分からなくて上司に聞くと「みんな入るんだ」などと言われ、「そんなものかな」と思い入ってしまう──というわけです。セールスレディは毎日会社にいますから、どこの部署の誰が結婚したなどという情報が入ってきますよね。そんなときはお祝いを持って行くのと合わせて保険金額を増やすよう勧めたり。それが昔のセールスの仕方だったんですよ。

それが、近年企業のセキュリティが非常厳しくなり、そのやり方が通じなくなりました。また都市部では女性の仕事の場が増え(※)、セールスのなり手も少なくなりました。だから、若い人が保険に入らないケースが増えているんです。

※女性が働ける職場が少なかった戦後、戦争未亡人の就労対策として政府が生命保険会社に女性の雇用を推奨した歴史があるそうだ

──そうした30代・40代の人が保険に入る場合、何を重視すれば良いでしょうか

出口 まず、生命保険には4種類あるということを知ってください。一つ目は病気になった時のための「医療保険」。二つ目は、結婚して子供がいるけど貯金がない、そんな時急にどちらかが倒れたら……という時のための「死亡保険」です。三つ目に、自分で老後の貯金をするための「年金保険」。そして最後に「税金対策の保険」。例えば中小企業の経営者が保険料を損金で落とすなどの税制を利用した保険です。

30代なら年金は少し早いですよね。税金対策も多くの人が必要ないでしょう。そうすると、必要なのは死亡保険と医療保険です。例えば一緒に暮らしているパートナーが事故や病気で亡くなってしまった場合、やはりショックを受けますよね。そして生活を立て直すまでの資金が必要です。ボクは年収3年分あればなんとか立て直せると言っています。それから、お子さんがいらっしゃれば教育費が必要です。公立校に通わせるとして、大学卒業までに一人一千万円ほどかかると言われています。ですから死亡保険の金額としては、「年収の3年分と子供一人あたり一千万円」あれば十分だと思います。

医療保険については、日本は公的な医療保険制度が充実していますから、ある程度の貯金があれば入る必要はないという人もいます。だから、貯金がない時に長期間働けなくなった際のリスクに備え、掛け捨ての安い医療保険に入っておき、十分に貯金ができたらやめてもいいわけです。

保険には生涯の契約となる終身保険と、期間を定めた定期保険とがありますが、これだけ変化の早い世の中で終身の死亡保険というのは保険会社の陰謀みたいなものですよ。人の生活状況も変化しますから、例えば二人で生活を始めたときに10年の定期死亡保険で年収の2~3年分を契約し、子供ができたらプラス一千万円というように"買い足して"いけばいいんです。

"手数料"はどの業界もネットが一番安い


──すでに保険に入っている人が見直す場合についてはいかがですか

出口 単純に考えて保険は"コスト"です。自分が契約している保障額に対し、保険料が毎月いくらになるか比べてみればいいんです。ライフネット生命で試算をしてみて、それが安ければ乗り換えればいいし、高ければそのまま入っておけばいいというだけです。同じ効用が得られるわけですから。

保険料の内訳というのは、実はものすごく簡単で「原価+手数料」なんです。保険の原価とは保険金の支払いに充てられる金額で、日本人の死亡率をもとに、アクチュアリー(保険数理人=保険料・責任準備金等の算出などを行う保険数理のプロ)が算出し、金融庁が数カ月かけてそれをチェックします。同じデータを基にしていますから、その原価というのはどの会社が計算しても同じなんですよ。

それに手数料を乗せて保険料が決められています。手数料は他の業種と全く同じようにネットが一番安いんですよ。ネット生保は店がネット上に一件あるだけですが、大手生保だと全国に2,000店舗ぐらいあって、家賃・光熱費を払い、セールスレディの監督者もいるわけで、コストがまったく違うわけです。

例えば30歳男性で3,000万円の定期死亡保険の年払い金額を比較すると、とある大手保険会社で約8万円、ライフネットが約4万円です。内訳は、ライフネットが「原価3万円で手数料1万円」、大手は「原価3万円で手数料5万円」です。手数料がほぼ5倍なんです。セールスの人件費や店舗の経費、それに莫大な広告費を、みんなお客さんが払っているわけです。

今のところ、ライフネット生命の契約の中で、乗り換えられる方の数は多くはありません。新興の会社が安い商品を出すと「安かろう悪かろう」と思われてしまうかもしれません。しかし、まだ多くの人が保険料にこうした差があり、その違いは実は手数料だけであることを知らない。そして、政府のセーフティネットによって契約者が保護されることも知られていません。

──ネットだけでそれを伝えていくのは大変ですか

ライフネット生命が配布しているコンセプトカード。「私たちは、大々的な宣伝広告を行うことはできません。なぜなら、安い保険料を実現する、という企業理念があるからです」と、真っ正直な経営を宣言している

出口 認知度を高めるためにはさまざまな活動の組み合わせが重要だと思います。知名度を上げるだけならどんどんTVコマーシャルをやればいいんですけど、その費用は結局保険料に上乗せされるしかないわけです。"日本で一番安い保険料"と"大量の広告宣伝"とは両立しません。ですから、お渡したそのカードに書いてあることが我々のチャレンジです。Twitterもそうですが、ともかくさまざまな活動をやることに意義があると思います。

──結婚しない人が増えるなど、生活スタイルも多様化しています

出口 そうですね。例えば長期間病気になるなど、一人でも保険が必要になる時があります。我々はまだ生命保険と医療保険しか出していませんが、いろいろなニーズに応じた保険をこれから出していきたいと思います。

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世の中お金がすべてではないが、お金が無くて困る状況は起こり得る。贅沢のためではなく、万一の時に自分や家族を守るセーフティーネットとなってくれるお金のことは、一度真剣に考えてみる必要が、そして責任がある。電話営業やセールストークに煩わされず、Webサイトで商品内容を知ることができ、より詳しく知りたいことがあれば、Twitterで社長に直接質問できる。さまざまなWebサービスが生活にとけ込んでいる今の30代・40代にとって、ライフネット生命が提示する保険選びのスタイルは、かなり親しみやすいものと言えるだろう。

Twitterで身近になるライフネット生命

ネットユーザーと交流し、リアルの対話につなげたいというライフネット生命保険 出口治明社長。子育て世代にやさしい同社商品にも、還暦ベンチャー社長の動向にも興味あり、という方はぜひ、出口氏のTwitterアカウントをフォローしてみてください。聞きたいことがあれば気軽に質問を!