パナソニックが、世界初となるフルハイビジョン3Dプラズマテレビ「VIERA VT2シリーズ」2モデル、およびBlu-ray 3Dディスクの再生が可能なBlu-Ray Discレコーダー(BDレコーダー)「ブルーレイDIGA」を、4月23日から発売すると発表した。
パナソニックのデジタルAVCマーケティング本部 ・西口史郎本部長 |
「パナソニックは、常にテレビの新たな時代を開いてきた。カラーテレビの登場からちょうど半世紀を迎える2010年、パナソニックはまた新たな時代のテレビを投入する」と、パナソニックのデジタルAVCマーケティング本部 ・西口史郎本部長は語り、「フルHDに代わる次のトレンドは3D。2000年代が、デジタル産業革命の時代だとすれば、2010年代は3D産業革命の時代となる。フルHD 3Dはパナソニックにとって積年の夢であった。その場に引き込まれるような没入感を実現するという新たなテレビの視聴環境を提供することができる。パナソニックは、3D産業革命をリードしていく」とした。
同社では、今回、発表した3Dテレビに搭載したプラズマパネルを「プラズマ大革命」と位置づけるとともに、新Uniphierを搭載し、高画質な3D映像を再現するブルーレイレコーダーを「ブルーレイ大革命」と表現している。
パナソニックにとって3Dテレビは、テレビ市場で先行する韓国勢に対する技術的な優位性を発揮するための切り札であり、また、3Dテレビの普及がパナソニックのテレビ事業を加速するものと位置づけられている。
「パネル、圧縮技術、3Dメガネとのシンクロ技術など、高画質な3D視聴環境を実現する技術は、他社が簡単に追いつけるものではない」とパナソニックの関係者は自信を見せる。
「パネルを買ってきて、3Dメガネを付属すれば3Dテレビが完成するというのは間違い。それでは、ユーザーが求める画質を表示するのは難しいだろう」と、パソナニックならではの垂直統合型の強みを発揮する考えだ。
3Dテレビの普及に向けた強気の姿勢は、今回の製品の価格設定にも表れている。
54型の「TH-P54VT2」の市場想定価格は53万円前後、50型の「TH-P50VT2」は43万円前後。また、3D再生が可能なブルーレイレコーダーの「DMR-BWT3000」の市場想定価格は30万円前後、「DMR-BWT2000」は20万円前後、「DMR-BWT1000」は16万円前後。「2Dテレビに比べて、3Dテレビは約7万円の増加。ブルーレイレコーダーでは2万円の増加。あわせて9万円の増加になる」とした。
また、当初は1個2万円前後はするだろうといわれていた3Dメガネも、3Dテレビに1個を同梱し、オプション価格も1万円前後という意欲的な価格に設定した。家族が同時に3Dを視聴するには、家族分の3Dメガネが必要となるだけに、3Dメガネの価格をなるべく安く提供することは、普及には不可欠な要素だ。「3Dメガネの価格設定は決して赤字ではない。だが、かなりがんばった」とパナソニックでは語る。
パナソニックの試算によると、国内の3Dテレビ市場の規模は、2010年には50万台規模、2012年度には200~300万台に到達すると予想している。
パナソニックでは、いち早く3Dテレビを投入することで、3Dテレビ市場の5割のシェアを目指すという。これは世界規模でも同様の見通しを掲げる。世界市場における3Dテレビの市場規模は2010年には約200万台と予測。そのうち、50%のシェア獲得を目指す。
一方、3Dレコーダー市場では、2010年度には日本国内で50万台、2012年には300万台のブルーレイレコーダーに3D機能が標準搭載されると予想しており、パナソニックでは、2010年度で約6割のシェア獲得を目指すという。同様に世界市場では、2010年の総需要は120万台。そのうち、50%のシェア獲得を目指す。
パナソニックは、3D市場にテレビ事業の拡大を賭ける。いよいよ3D事業が船出した。